96のチラシの裏:浦和レッズについて考えたこと

浦和レッズを中心にJリーグの試合を分析的に振り返り、考察するブログ。戦術分析。

2018シーズン開幕 vs FC東京

こんにちは。96です。

昨シーズンはツイッターで試合の感想を書いていましたが、今シーズンはこっちでまとめていきたいと思います。

 

vs FC東京戦、浦和は相性の良い FC東京に対して堀監督が目指すサッカーを表現し、2018シーズンの戦い方を示していきたいところ。

 

レッズのスタメンは下記の通り。

                興梠

武藤                      マルティノス

           柏木   長澤

                青木

宇賀神 槙野 マウリシオ 遠藤

                西川

控え: 榎本 岩波 平川 阿部 武富 李 ズラタン

 

両チームのスタイル2018

昨シーズンの スカッドからの変更点は移籍したラファエルシルバに変わってマルティノス。主な狙いはこれまでの報道等から3トップを使ったサイド攻撃と2枚のIHを高めにプレーさせることで生み出す分厚い攻撃と目されます。レッズのビルドアップは昨年終盤のやり方と同じく青木を落として両CBを広げ、押し出されたSBが高い位置を取る形。前ではWGは徹底的にサイドに張って幅を取り、IHは興梠をサポートする意識が高くなるべく前に残る。一方で後ろが詰まるとどちらかが降りるといった感じ。

 FC東京は4ー4ー2のフォーメーション。2CBに対して2トップがプレッシャーを掛けるものの、青木が降りると教科書通り3枚で2トップのプレスを外せるので最終ラインはあまり苦労しなかった印象。そのかわり、 FC東京はレッズのSBにボールが入ったところでほぼ全員が帰陣しブロックを作ることが徹底されており、2列目の4枚もそれぞれ捕まえる選手をはっきりさせる守備で応戦。

 

ビルドアップに苦戦

前半、レッズの第一の課題は前への付け方でしょうか。SBにボールが収まってから、パスの選択肢がなかなか増えません。IHがボールを引き出そうとしますがFC東京ボランチがしっかりと付いている状況。青木もサポートしたいところですが最終ラインの組み立てサポートの後で苦しい。必然的に幅を取っているWGが選択肢となりました。個人の質もありボールを簡単にわたすことはないもののやり直しても同じ状況。レッズの組み立てが単調になってしまった感は否めません。

一方でFC東京も守備は整理されていたものの攻撃はディエゴオリヴェイラのキープと突破頼みという感じで連動性はあまりなく、迫力を持った攻撃でレッズを脅かすところまではいかず。前半は硬い展開でした。林がゴールキックを終始真ん中のディエゴオリヴェイラ目掛けて蹴っていたのが印象的でした。狙いだったかな。でも普通に槙野とマウリシオは安定してはじき返してましたね、さすがに強さを見せました。

レッズのチャンスメイクは主にサイドから。マルティノスはもっとコネるのが気になるかと思いましたがそれほどでもなく、相手が二人いても仕掛けてクロスをあげるところまでやってくれるのは好印象。我慢が必要な試合でしたが独善的なプレーはなかったように思います。ただし、幅を取った割にSBやIHがミドルレーンを活かすような連携はあまり見られず、個人突破からのクロスに頼った前半で、結局最大のチャンスは柏木が前を向いた瞬間の興梠の抜け出しからダイレクトボレーがサイドネットを脅かしたシーンくらい。第二の課題として、幅を取るWGの使い方とWGがとった幅の使い方があるかもしれません。このへんはもう少し整理されるのに時間がかかりそう。堀さんがどんなサッカーを構築するか楽しみにしていた分、積み上げを感じるシーンは少なくもやもやする前半でした。

 

一瞬のスキで失点

選手交代はなく後半へ。レッズは前半同様に丁寧なビルドアップと前から追っていく守備で主導権を握る構え。FC東京のビルドアップは前半からほとんど有機的な機能を見せていなかったため、強気に追いかけます。が、ここでレッズの弱点が露呈。GKのクリアをディエゴオリヴェイラとマウリシオが競ったところ、両IHが前残りの形になってしまったままセカンドボールが浦和右サイドの密集へ。この時点で長澤は興梠と並んで最前線、柏木もボールラインに戻れていないところ、FC東京は5人の選手が集結。前につけたボールにマウリシオが再度食いついたギャップに東がフリーラン、高萩が落としのボールをダイレクトでスルーパス。これがぴたりと決まって抜け出します。正直、このパスは高萩のセンスがなせる技という感じで、レッズの選手がどうこうじゃないと思うけども、前から追ったところを蹴られて剥がされ、セカンドボールで前を向かれるパターンはこの先もレッズが抱える明確な弱点になりそう。槙野、宇賀神が追いかけるものの及ばず東が先制ゴール。個人的にはこのシーン、失点はしたものの西川もしっかり止まって待っていたし個々の選手の対応は間違っていなかったと思います。そういえば、西川はこの試合キックがとても安定していました。一時期キックがかなり不安定だったのは怪我がつらかったんだろうなあと今更納得。

その後、浦和はすぐさまサイドアタックからコーナーを獲得し、柏木のボールに槙野が足で合わせて同点。槙野は失点シーンで東に入れ替わられた瞬間、ノーファールで対応したのが良かったですね。CBとして失点は悔しいでしょうがあそこでPKにしなかったのが良かった。いつかのチャンピオンシップだかなんだかどこかのチーム相手に西川を信じずに後ろからファールを犯しPKを献上したことを考えると、冷静だったと思います。それが報われたか、自分で取り返しました。柏木もナイスボールで、今年はCKから点が取れそうな予感です。

後半はその後両チーム選手交代しつつ空いてきたスペースを使うも決定的なシーンは少なく結果は引き分け。現地ではゴール裏で見ていたこともあり正直拍手する内容じゃないなあと思いつつ、映像で見返すとレッズのトライが見えてきたので気づきをまとめておきます。

 

マルティノスは使い方次第でもっと怖い選手になる

彼、足元でボールを受けたがるかと思ったら裏に走る意識もあるし囮やサポートの使い方もシンプルで落ち着いていて良いですね。あと、トランジションの瞬間等で裏を狙うのが良い。一時期関根が得意にしていた中に入り込みつつ相手CBとSBの間から裏を狙うやつ、組み込んだら面白そう。

 

宇賀神は戸惑いつつも役割を体現しようとしていた

マルティノスが前後半で左右を変えてプレーしたので分かり易かったですが、後半のウガはマルティノスの広げた幅にインナーラップで飛び込むプレーを何度か見せていました。遠藤は後ろで構えてサポートという感じでしたが、マルティノスの使い方としてはこっちが正解な気がします。後ろとの関係もふくめるとマルティノスは左で使った方がいいかな。

 

攻撃の構築はやり直し、ミシャサッカー二年目くらいの気分で。

真面目だからかなんなのか、コンセプトがひとつ入ってくると本当に固執しますね。特にビルドアップのパターンが単純なのでFC東京も守りやすかったかな。個人的には幅を取るのはいいけどその分ミドルレーンへの侵入を増やして欲しい(興梠が寄ってもいいと思う)のと、裏を取る動きをもっと入れて欲しい。深さを作る組み立てはミシャ体制でできていたので、意識づけの問題だと思うのですが。相手の最終ラインと2列目の距離を広げられず、柏木長澤がうまくスペースを確保できませんでした。このあたり、選手が慣れて遊びが出てくるまでもうすこし時間がかかりそうです。また、中央からの組み立てとしては青木を落とした分マウリシオが持ち上がるなどのドリブルで運ぶ工夫が必要かも。ミシャ体制よりも選手の距離感が遠いので多少持ち運べないと苦しい。

 

遠藤のところは競争になるかも

左については上述の通りなのですが、右の遠藤はもうちょっと見せて欲しかった。彼はもっとボランチに近いプレーできるはず。ネガトラの際のリスク管理が厚すぎるかな。3バックじゃないからもうすこし前に力を出さないと苦しくなりますね。前が武藤だと剥がしきれないからよりサポートが重要です。あとクロス精度。これは宇賀神も同じ課題ですが。この辺求められる役割は森脇選手の得意とするところ、彼が復活したら競争激しくなりそうです。そういえばカサブランカ戦も右は森脇でしたね。あとひらかーさんもこのへんのタスクは上手にやってくれますね。

 

青木がいなくなったら終わりかも

これはもう、青木様様です。怪我しないでくれ。あべちゃんももちろんいますが、青木のカバーしてる範囲は半端じゃないので、、、

 

塩試合の原因はFC東京

現地での印象の倍以上、FC東京はベタ引きでした。柏木の公式コメント通り、特に後半はエリア内に8人で守ってるような感じ。あれはなかなか崩せないですね。しっかりセットプレーで追いつけて良かったです。開幕戦ということもあり塩分濃いめでしたが、もう何試合か見ないとチーム構築への評価はできないかも。

 

ツイッターにも書きましたが、選手の質的優位を存分に発揮させるシステムづくりはまだまだ道半ばですね。ただコンセプトが浸透してそれぞれ遊びの部分やスペースメイク、スペース攻略が馴染んでくると破壊力が出てきそうです。そういう意味では直輝が見たかったですね。コンセプトには合うと思います。また、今節のようにベタ引きされた場合にズラタンを早めに入れるなど采配面ももう少し改善できると思います。そういう意味では、ベンチにCF2枚はいらないかな、とも思いました。あと、守備についてはFC東京の攻撃が全然できていなかったので次節以降に持越しです。

 

書き出したら長くなってしまいました。次節以降も続けられるようがんばります。