96のチラシの裏:浦和レッズについて考えたこと

浦和レッズを中心にJリーグの試合を分析的に振り返り、考察するブログ。戦術分析。

大槻浦和組の果てなき抗争は続く、、、 Jリーグ第7節 vsヴィッセル神戸 分析的感想

巷では大槻暫定監督の風貌や挙動があまりにもその筋すぎると話題になっていますが、その大槻組長率いる浦和組の次なるカチコミ先はヴィッセル神戸の本拠、ノエビアスタジアム。両団体の熾烈な抗争はどのような展開を見せたのか、振り返ります。

 

 

浦和の選手配置と両チームの狙い

大槻監督はこれまでの2試合をそれぞれ異なるシステム、配置で戦っています。前節仙台戦は3-4-1-2システムを採用しましたが、これは仙台が一貫して取り組む3-5-2に対抗するためのものという見方もありました。従って今節の浦和がどのような配置で臨むかによって、前節採用した3-4-1-2システムが大槻監督にとってのデフォルトなのかどうか確かめることができます。結論としては、大槻監督は今節でも同じ配置を採用していました。

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浦和控え:福島、荻原、マルティノス、柴戸、武富、アンドリューナバウト、李

 

スタメンは上記の通り。浦和は疲労を考慮してかベテランの阿部、平川がベンチ外。さらに連戦でも不動の主力と目された槙野もメンバー外で、またもポルディとの対戦のチャンスを逃してしまいました。代わりに大槻監督はJリーグデビュー戦となる橋岡をスタメン起用。正式にトップ登録となって以来、荻原に先を譲っていた橋岡ですが、今節WBでのスタメンデビューとなりました。ボランチには長澤がスタメン復帰。そして最もホットな起用は古巣との初対戦となった岩波の抜擢でしょう。この起用で岩波はレッズ移籍以来リーグ戦での初スタメンとなりました。また、ベンチにこれまたリーグ戦では初登録となる柴戸を招集するなど、浦和は連戦を見越したかルヴァンカップのごとく若い衆を多数動員しフレッシュな面々で適地に乗り込みました。

一方の神戸も前節から中2日での連戦ということで5人のスタメン変更があったようです。こちらも若手を積極起用。ポドルスキをトップ下に、その両脇を若い佐々木、郷家が固める4-2-3-1で浦和を迎え撃ちました。

 

DAZN実況によると、神戸は今季から?ポゼッションサッカーに取り組んでいるとのことでした。あまり神戸の事情に詳しくないまま語るのは失礼なのですが、正直神戸っていつもバルサがどうとかポゼッションがどうとかパスサッカーがどうとか言っているイメージです。現実、ソリッドに戦いまくるチームを作った方が強いメンツがいると思うのですが。まあ他所様の事情を詮索しても仕方ないので、この試合で神戸が狙っていたと思われるギミックを整理してみます。

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ポゼッション時は、両CBの間に、ボランチの藤田がほぼ自動的に降りて擬似3バックを形成していました。相手FWからのプレッシャーに対して枚数を調整するにはもはや王道とも言える手法です。たしかに浦和は興梠と武藤の2トップでしたので理に適っていたと思われますが、神戸としてはそれよりも自軍の両SBに高い位置を取らせることの方が重要だったと思います。ということで最終ラインとサイドはほとんどオートマチックに攻撃時のポジショニングを取るような秩序だった整理が為されていました。一方で、前線の選手の位置取りについては大部分が選手に任されていたように感じました。つまり、フリーマンとして動くポドルスキの位置どりに合わせて両脇のOHの二人が中央に入り込み、ポドルスキの動いたスペースを埋めていくという分担です。で、結果的には前半では綺麗に出たのは2回ほどしかありませんでしたが、神戸としてはポドルスキが中盤に降りることでできたスペースにOHを収納することで、結果的に浦和のDFも中央に収束させ、質的に強みのある両SBの攻撃参加からウェリントンどーん!で点を取りたいというのが狙いだったかなと思います。

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このように振り返ると、選手の特徴とも相まって非常に機能的にデザインされた戦術のように感じます。しかし、実際には前半はこの狙いはあまり機能しませんでした。神戸にとっての大きな問題は浦和の守備時の人の配置がひとつあったように感じます。まず、神戸としては必殺のSB爆撃作戦の発動のためには、中央でポドルスキにボールを持ってもらって相手を引きつけさせる必要があります。といってもポドルスキが前を向いてドリブルやシュートの選択肢を持っている状態を作り出さなければ意味がなく、そのためにはいかにポドルスキに良い形でボールを供給できるか、最終ラインのビルドアップの質がポイントとなってきます。しかし、浦和の守備は危険なポイント=神戸の使いたいポイントをしっかりとケア出来ていました。

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浦和の守備は前節と同じく5-2-3(5-2-1-2)。図にすれば一目瞭然ですが、最終ラインから中盤中央への最も危険なパスコースを塞ぐのに苦労しない立ち位置となっています。ちなみに、前節仙台戦でも見られましたが、セットの守備においては浦和の前線の3人はあまりボールに食いつきすぎず、持ち場を離れず中央のパスコースをしっかり切っていましたので、このように中央をまず切るという守備は大槻監督が整理した部分だと思われます。こうなると、神戸としてはポドルスキに後方からパスを供給することが難しくなります。ならばとまずはSBにボールを預けて云々カンヌンやろうとしますが、藤田が最終ラインに落ち、ポドルスキが中盤に落ちと神戸がごちゃごちゃやってるうちにいつのまにか神戸の選手の配置と浦和の選手の配置がバッチリ噛み合うという罠。かくして浦和の選手にしっかりと捕まえられてしまった神戸の選手はなかなか思うようにビルドアップが図れませんでした。すると、必然的に浦和が徐々に試合の主導権を掴むようになっていくのが、サッカーのとても面白いところですね。

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浦和は、徐々に神戸のやり方を掴むとともに、キックオフから時折狙っていた前プレも整理されていきます。神戸は上述の通り最終ラインに藤田が降りることで2トップに対して数的優位を作っていましたが、どうもそれをボールの前進に活かせているシーンは多くありませんでした。ひとつはCBが本職CBでないチョンウヨンと今節がJリーグデビューとなった宮の慣れないコンビというのもあったかもしれません。また、興梠や武藤のプレスのコース取りのうまさ(簡単にGKや中央に戻させないコース取り)や、ユースレベルとのプレスのスピードの違いもあったのかもしれません。とにかく最終ラインの選手を興梠、武藤が捕まえ始めると、前節と同様アンカー捕獲隊長となった柏木、WBでのJリーグデビューということで走りまくってアピールしたい橋岡に続き、青木、長澤の故ハリルジャパンならワンチャンロシアあったかもコンビが中盤を制圧し始めます。この二人の主な任務は、中央でのリンクマンとなる三原の処理に加え、業を煮やしてボールを受けに来るポドルスキを潰しまくることでした。この形のプレッシングはそれなりにはまっていて、神戸の最終ラインがお世辞にも良い連携をしていたとは言い難いことも相まって神戸の攻撃におけるリズム作りを効果的に妨害出来ていたと思います。そんななか、当然の帰結として先制点が浦和に転がります。

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23分、右サイドでのビルドアップが不発に終わった神戸は一度GKまで戻してやり直し。藤田が最終ラインに落ち切る前に安易に幅をとった宮へパスが入ると、興梠がすぐさまプレッシング。連動して橋岡が右SBの橋本を捕まえると、ボールを逃す先を失くした宮はこれまた安易に中央の三原へ。これを完璧に読んでいた遠藤が猛然と駆け上がり、長澤と挟み込んでのダブルチームに成功。ノーファールで奪ったボールを興梠に繋ぐと、逆サイドから中央に入った武藤へグラウンダーのパス。ダイレクトシュートは一度は弾かれるものの、武藤自ら詰めて今季初得点。浦和が神戸のビルドアップを完璧に破壊して先制点を奪います。このシーン、最大のポイントは遠藤がこの位置までプレッシングに参加出来たことだと思います。もともと前プレをする際は青木、長澤が高い位置まで相手の中盤を捕まえに行くため、遠藤とマウリシオはその後ろのスペースを前に出てケアする役割を負っていましたが、このシーンはタイミングと連動が完璧だったと思います。神戸の宮としては、得意(らしい)のフィードで一番遠い前線の裏に蹴り込めれば良かったでしょうか。ただ、このシーンに限らず神戸は前線のフリーランが全然無かったですし、かと言って後ろが大きく持ち上がる訳でもなかったので、そもそもチームとしてボールの前進に難を抱えていたと思います。ちなみに、しっかりと追いかけたわけではありませんが、ポドルスキは試合の最序盤〜10分ごろまでは頻繁に中盤に顔を出していたように思います。その後35分くらいまではウェリントンと2トップのように振る舞っていましたが、なかなかビルドアップが覚束ない最終ラインに我慢できなくなったか、前半終盤は再度中盤に降りてボールを受けていました。彼が危険なエリアでボールを持つことさえできれば、その後の攻撃は整理されていることは本人もよくわかっているはずです。ですが、あまりにも後ろが覚束ないと我慢にも限界があるということだと思います。前半の彼のイラつき具合には同情してしまうほど、神戸は狙った攻撃を作れていませんでした。

一方で、前半の浦和の攻撃と神戸の守備についても触れて置きたいと思います。

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神戸の守備時の配置は4-4-2。もしくは4-4-1-1かもしれませんが、おそらく並び方の数字は問題ではなく、ウェリントンポドルスキについては守備は流れでそれなりに、という程度なのでしょう。はっきり言ってほとんど役に立ってはいませんでした。強いて言えば、強力な個を持つ二人が攻め残ることでカウンターの脅威を敵に与えるということだと思いますが、特に怖かったシーンも無かったので、やっぱり役に立っていませんでした。ということで神戸の守備は4-4の2ラインが頑張って守る事になりますが、面白かったのは攻撃時OHのポジションから両サイド前の守備に入る佐々木と郷家。浦和の両WBが気になるのか、深い位置まで守備に戻り、神戸のSBはペナ幅で守るというシーンが数度ありました。これは判断の問題で良い面も悪い面もあると思いますが、悪い面としては彼らが下がった分、彼らが本来受け持っている浦和の3列目のスペースにかなりの自由を与えた事でしょうか。そもそも前2枚が守備をしないため、今節の浦和の3列目にはかなりの時間と空間が与えられていました。それを良い事にマウリシオや遠藤が多少持ち上がって攻撃参加するなどのシーンもありました。一方で良い面ですが、これが神戸の最初からの狙い、割り切りなのかわかりませんが、ペナ幅に4バックが収まることで中央に良いスペースがほとんどありませんでした。これは浦和としては結構苦しかったと思います。上述の神戸の攻めは中央に入れてからのサイド攻撃が狙い、でもそもそも中央に良いボールが入らない、という状態でしたが、浦和も浦和でサイドに広げてから中央でコンビネーションという狙いがハマりませんでした。サイドに幅をとるWBを使っても神戸のSBを引き出せないため、中央にスペースが生まれず、決定機を生み出せないというシーンがよく見られました。また、浦和がビルドアップしていく際の守備に関しても、神戸は8枚でプレッシングを敢行していました。ここでも中央を簡単に割らせないために、両WBに入ったタイミングでボールサイドに人を寄せてプレッシング。出来ればここで引っ掛けて前線2枚へボールを届けたいという狙いもあったと思います。

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残念ながら、ここでも前線2枚の協力は思いついた時のみという感じで、8枚で頑張ったところでマウリシオのサイドチェンジ一発で剥がされるという悲しすぎる展開。しかし浦和もチェンジしたサイドでボールを受けた橋岡が相手を抜き去ってクロスが上げられるわけでは無いので、単純にクロスを入れるかやり直すかという感じ。このような形で、神戸はやりたいことがほとんどできず、かたや浦和も先制点は奪ったものの相手の喉元を脅かすまでは至らずということで前半を終えました。

ちなみに、前半のスタッツでパス数一位が藤谷の60回でダントツとなっていました。実況では藤谷が右サイドで起点となっていると総括していましたが、本来であれば藤谷はボールを貰ってクロスを入れる役割なので、60回もパスを出すことは彼の仕事ではありません。個人的には、これは神戸の攻撃が上手くいかず、中央にボールが着かなかったために藤谷がビルドアップの消極的な出口となっていたことの表れであり、つまり本来意図していない位置とタイミングでボールを持たざるを得ない状況があったのだと理解しています。

 

神戸の修正と浦和の気合い

サッカーに限らず、ある種の対戦や競争において少ない手数で自軍の問題点を修正するとともに相手にダメージを与える、相手を困らせる一手に出会うことは素晴らしい体験と言えます。神戸の後半は、ビルドアップに若干の修正を加えることで、まさに一手で前半の問題点を解決したようにも感じられました。具体的には、OHの使うスペースの整理です。前半はポドルスキの挙動に合せて中央1.5列目のスペースを使う狙いを見せていた神戸の佐々木と郷家。後半はスタートポジションとして浦和のボランチ2枚の脇にポジションをとり、浦和の第一プレッシャーラインの真後ろでのプレーを明確にしていました。

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ポドルスキと共に神戸の2列目が浦和の2枚のボランチに対してプレーすることに加え、浦和の第一プレッシャーラインを超えたとこで三原が加勢することで明確な数的優位を中央に構築。これによって神戸は中央でのパスワークの選択肢を確保し、連動してサイド攻撃を活性化していきます。さらに、佐々木と郷家は前半よりも上下動を強調し、時にはCBの脇からボールを持ちあがる等の動きを見せていました。前半、最終ラインからのボールの持ち出しがうまくいかず、ポドルスキという攻撃のスイッチを使えなかった神戸ですが、この整理によって一気に最終ライン~中央~サイド~クロス爆撃までのラインが開通し、試合の主導権を明確に取り返すことに成功しました。

同点弾はCKから。ポドルスキの高精度クロスにウェリントンが合せて豪快に同点。このCKも郷家が武藤の斜め後ろまで降りてボールを預かり前進させた結果としてのCKでしたので、神戸としては修正が上手くはまった得点だったと言えると思います。対して浦和は、後半の神戸の修正に気づいていたか気づいていなかったか、前半と同じ形で気合いと連動をベースに守り続けます。浦和は55分に菊池に変えてナバウトを投入。武藤を左WBに落としてサイドの運動量を担保しにかかりました。この交代はすごく象徴的で、大槻監督としては中央を使われていることよりも左サイドの運動量そのものをケアしています。大槻監督が中央での数的不利を認識していたかどうかはわかりませんが、例えば4-4-2に配置を変えることで中央の枚数を合わせることも一つの手ではなかったかと思います。浦和は徐々に中央の数的不利によるスライド過多で青木と長澤の運動量が落ちていきます。この時間帯では、二人がスライドしきれない幅は柏木が戻って埋めるか遠藤か前に出て潰すかという形で前後からのサポートでなんとか形を維持しているという感じでした。

神戸は後半キックオフから逆転弾となる62分の得点まで、実に15分以上もボールを保持し続けました。浦和の中盤2枚は確実に体力を削られており、それに伴って全体が前に出ていけないという悪循環を止めることが出来ませんでした。

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逆転弾はある意味で必然だったかもしれません。上述のビルドアップから左の藤谷、ダイレクトで中に入っていた佐々木がターンでマウリシオを躱すと、カバーに入った青木をステップで揺さぶってシュート。このシーン青木は明らかに体力を消耗しており、神戸のビルドアップの整理に対応しきれなかった故の失点でした。

 

交代によるチームの蘇生とこの試合故の再逆転

失点を受けて66分に浦和は青木に変えて柴戸を投入。

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橋岡をCBに遠藤をボランチに、右WBに柴戸を入れて盤面を整理します。神戸のボール支配が中央での数的優位と浦和のボランチのスライドの遅れによるものであったとするならば、この交代は極めて妥当かつ効果的なものでした。対人に強く脚が残っていた遠藤が中央を締め、サイドに入った柴戸が適宜中央のフォローにも入ることが出来るため、神戸の体力が落ちてきたことも相まって試合がバランスしていきました。

ここまでの交代策に加えて、逆転を許したことが逆に良かったのかもしれません。神戸は勝ちを意識しラインが全体的に下がっていました。一方でウェリントンポドルスキは前残りするため、浦和は逆転のために枚数を前線にかけていきます。浦和は両WBが高い位置を取り5トップに近い構えとなり、懐かしのミシャスタイルで神戸を殴りにかかります。

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神戸のコンベンショナルな4-4-2に対しハーフスペースをこれでもかと攻略するミシャスタイル。間でボールを受けられることに加え、2ボランチが中盤でフリーのためやり直しが効くということで、神戸は徐々に押し込まれます。全盛期のコンビネーションはさすがに発動しませんでしたが、クロスが流れたところでCKをゲット。柏木のコーナーをファーで待っていた岩波がヘディングでゴールに放り込み、同点に追いつくことに成功します。岩波は試合後のコメント等で、古巣神戸のCK時の守備配置が頭に入っていたと発言していました。ゾーンで守り、ニアから順にヘディングが強い選手を置く神戸に対し、一人ファーで構えていた岩波。この得点はこの試合故のゴールだったと言えると思いますが、「この試合に岩波を起用したこと」そのものがこのゴールの要因と考えると、大槻監督の采配が当たったというところでしょうか。

その後は、お互いに疲れからかスペースが大きく開く中で、お互いのミスで攻守が多く入れ替わるオープンな展開に。浦和はポドルスキの強烈なミドルを浴びるなどピンチを迎えるシーンもありましたが、神戸もまたハーフスペースで浦和の前線にボールが入るとなかなかアプローチできずにズルズルと下がっていくという状態。この時間帯になってナバウトがドリブルで仕掛けるシーンなどからCKを得るシーンが多くなっていきました。

試合は最終盤、柏木のCKにマウリシオが合わせて土壇場で逆転。神戸としては直前のプレーでマウリシオ本人がウェリントンを削ったため一人少ないCK守備となってしまっており、そのマウリシオにゴールを決められたということで、マウリシオ憎しとなってしまったかもしれませんが、終盤余りにも多くのCKを与え続けたことを反省する必要もありそうです。浦和としては、柏木が素晴らしいボールを供給し続けたことが大きな要因であったことは言うまでもありません。

 

大槻体制をどう見るか。

かくして連勝を飾った大槻レッズ。シンプルに選手の役割を整理し、特徴が活きる場所で選手を起用する采配に加え、試合中は気合と根性を選手に滾らせ続けるモチベーターとしての手腕も高く評価されています。一方で、大槻監督のスタンダートと思われる3-4-1-2システムは既に明確な攻略法が示されており、特に中央で数的優位を構成されるとボランチ2枚のスライドを過剰に強要される点は明確な弱点となっています。今のところ、これに対する回答は気合と根性と助け合いという感じなので、今節の青木の疲労具合や柏木の走行距離が12kmに達していることを考えると、今後も続く連戦では厳しい戦いが続くと予想せざるを得ません。ただ、今節で橋岡をWBで起用しゴリゴリに走らせまくったことや、柴戸を起用して試合を締める采配など、台所事情もあいまって様々な選手を活用できていることは今後の総力戦を考えるとポジティブと言えるかもしれません。

新監督に元鹿島でリーグ3連覇を成し遂げたオリヴェイラの名前も上がる中、大槻監督率いる浦和組の総力戦はまだまだ始まったばかり。果てなく続くこの連戦を乗り切るには、ホームでのサポーターの後押しをうまく利用しつつ、なるべくけが人を出さないようなやりくりが大槻監督の最大のタスクとなるのかなと思います。

 

 

今節も長文にお付き合い頂きありがとうございました。