96のチラシの裏:浦和レッズについて考えたこと

浦和レッズの試合を分析的に振り返り、考察するブログ。戦術分析。 twitter: @urawareds96

チラシの裏:非公開練習の公開とか、大槻監督の仕事ぶりの想像とか、鳥栖戦の感想とか。

非公開としていた前々日、前日の練習を公開に

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いやーしかし相変わらず難しい舵取りを迫られる浦和レッズさんですね。この前の天皇杯でHondaに負けたことで起きたバス囲み事件を受けて、これまで非公開だった練習が公開練習になったとのこと。

また、これまで試合2日前に行ってきた非公開練習を原則、公開とすることを発表した。「たくさんのサポーターの方に心配をいただいている。厳しい指摘があれば言ってほしい」と練習から選手、スタッフの姿勢を見てほしいという大槻監督の意向により、この日に決定。ACL準決勝・広州恒大戦(10月2日・埼玉)の2日前となる30日から実施される。

単純に考えれば非公開練習にこそ戦術的な仕込みやセットプレーの確認なんかをやるのだと思うので、それを公開にしちゃって大丈夫なの…?という感じですけど、それをあえてやらなければいけない事情があるのでしょう。ということで確認。先日のバス囲みでのサポーターからの主な要求事項は以下の通りだったみたいです。

試合後には選手たちを乗せたバスを一部のサポーターが取り囲む事態に発展。大槻監督はその際にサポーターから伝えられたことを「天皇杯に負けたということで、そこでACLが懸かっている大会の一つを失ったということの意味を分かっているのか、ということが一つ、もう一つは、闘う姿勢をしっかりと見せてほしいと。そういったところが見られなかったというメッセージをいただきました」と明かしている。

浦和の大槻監督がバス囲みに言及「非常にありがたい」「サポーターから伝えられたことは…」 (2019年9月28日) - エキサイトニュース

まあ言いたいことはわかります。最近はACLでの躍進が浦和の希望になっているところもあったし、僕も個人的には来年ACLがないのは寂しいです。そもそも、「あらゆる分野でアジアナンバー1を目指す」クラブなんだから、ACLに出場し続けるのは最低限のハードル、スタートラインに立つか立たないかというところですからね。

でも正直、この状況でバス囲んで何かが良い方向に変わるのかな?というのは疑問だったんですが、これがきっかけで非公開練習が公開になるんだからすごいものです。僕の意見はどちらかといえば反対ですが…。

 

大槻監督の仕事ぶりとか

先述した通り、ここにはそれでも公開練習にすべき理由があるのでしょう。それはサポーター対応というよりも、それを決めた大槻監督の側に。叱咤激励が「ありがたい」かは別にして、大槻監督にメリットがなければこんな大事な決断は出来ないはずです。その意味で気になるのが、レッズプレスの佐藤さんのこのツイート。

これ結構意味深だなあと思っていて、どうも大槻監督の指導に対する選手たちのリアクションが良くないのではないかという気がするんですよね。ちょうど、僕の10年以上来の観戦仲間でありサッカー観戦の師匠の一人でもある某氏(以下B氏)とは、求心力という意味での大槻監督の強みや仕事ぶりについて話していて、彼は「大槻監督がやっぱりプロで活躍した選手じゃないというのもあるだろうし…」と言っていたので、僕は「やっぱりミシャのサッカーに魅力を感じて浦和に来た選手たちだから、大槻監督の「相手ありきサッカー」だけだと主導権を持つような仕込みがないのが不満なのでは?」と少し違う観点を持ち出してみたのですが、結局はファクトが何もないのでうやむやに、みたいな会話をしたところでした。

お互い同意したことは、やっぱり大槻監督は分析畑で経験がある人だから、対戦相手の分析はたくさんやっているだろう、ただ、自分たちのサッカーの原則を落とし込むという部分についてはあまり成果が見えないね、ということでした。3バック(5バック)を採用する以上、本来であれば(ミシャのように、とまでは言わずとも)攻めで主導権を握って、自陣に張り付く時間は最低限に済ませたいところだと思うのですが、これまで見えてきているものに特別なものはなさそうです。鳥栖戦もそうでしたけど、一度失点するとバタバタと連続でゴールされてしまう現象というのが後半戦に入ってから有意と言わざるをえないほどに目立っていて、この理由はやっぱり流れが悪くなった時に自分たちのプレーの原則、ボールの逃しどころ、リズムを作る起点みたいなものを見つけられないまま相手の勢いを正面から受けることになってしまうのが原因なのかなー、みたいな。

何が言いたいかと言うと、大槻監督はやっぱり経験がない中でも精一杯自分の責任を果たそうとしていて、彼の強みであるスカウティングの面から勝利への準備をすると言う部分をやっているけど、選手たちはもしかすると自分たちの原則が欲しいのであって、対戦相手ありきのサッカーには限界を感じており、その意味もあって練習から大槻監督への指導に対するリアクションに陰りが出ているので、監督本人としてはあえてサポーターに公開することで選手の集中力を担保しようとしたのかなーと疑ってしまう自分がいるわけです。まあもちろん邪推の域を出ないことなので、こうしてひっそりチラ裏に書いておくだけなのですが。

邪推ベースでさらに考えを深めていくことに意味はない気がしますが、こう考えてしまうとやっぱり大槻監督は就任時に自分のサッカーというものを前面に出して、それが全く新しいものであっても大槻監督のサッカーの原則を植え付けていくべきだったんじゃないかなと思います。まあそもそもその引き出しはないのかもしれないし、あったとしてもクラブスタッフとして長いといっても一流のプロ選手が揃う環境なわけですから、正式監督就任がはじめての「大槻さん」にとっては辛かったかもしれないですが。

また一方で、柏木がずっと使えていない中での采配を強いられているのは大槻監督の手腕というか出している結果を測るうえでは必ず考慮に入れる必要があると思っていて、いろいろ言われますがここ10年柏木が浦和のオフェンスを(そしてここ数年はオンザボールよりもオフザボールで)組み立ててきた選手で、そんな攻めの柱の機能を失ってしまっていることが大きな枷になっているであろうことはここに書き添えておきます。

 

鳥栖戦の感想というか、健勇の資質と起用についてとか

ということで残留をかけたバッチバチの6ポインツゲームとなったアウェーの鳥栖戦は前半に2点を先行したものの後半に10分で3点ぶち込まれて崖っぷち、最後はPKを健勇が沈めてなんと3-3のスコアレスドローという展開でした(元ネタは2-2のスコアレスドローでしたっけ?)。戦術的なこともいろいろあるのですが、武藤がやっとリーグ戦で点を取れたのは嬉しかったですねー。興梠が出場停止になった時点で、ある程度武藤がゴール前に入っていく回数が増えるのではないかと思って予想はしていたのですが、ゴールキックからの流れであっさり獲ってくれました。

2点目も取れそうだったんですけどね、前半先制後に2回くらいあったチャンスでしっかりミート出来なかったのが残念でした。試合自体はこの試合にかける熱量が存分に出た前半と、苦労している現状とそこからくる不安定さが思いっきりあらわになった後半という感じで、誰か選手も言っていましたが「まあこういうことになるから残留争いしているし、残留争いするチームはこんな風になっちゃうよね」という感じ。最後の最後に追い付いてよかったです。で、この試合ラストシーンとなった健勇のPKがかなり話題になっていますが、顛末としてはどの記事も以下と同じような報道でした。

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 B氏の言を借りれば「緊張したとか言ってるけどFWなんだから決めて見返したかったとか外す気は全くしなかったとか、前回外した悔しさが先に来るんじゃないの?!」とのことなんですが、まあ古くからの浦和サポーターのメンタリティってそうだよなあと思いつつ、僕はちょっと違う視点を持っているのでそのことを。

個人的には僕は健勇はもともとFWではないというか、ストライカー向きの選手じゃないよなあと感じています。桜ユースがどうとかこうとかは関係ないと思うんですが、彼ってメンタリティとか資質が中盤のプレーヤーのように感じるんですよね。プレーも毎回中盤に降りてきてボールに触れてサイドに捌いて後ろから飛び込もうとするし、乱暴に言えば、サイズもあって機動力もそこそこあって、ハマれば20点取れるトップ下。彼はずーっとそういうプレーをしているように見えるんです。だから僕からすると、彼にストライカーとしての矜持やメンタリティ、そしてそういったプレーを求めること自体がなんだか違うというか。そもそも彼を獲得した時にも、ストライカーの補強としてではなく李忠成の分の補充、つまりシャドーストライカーとしての獲得だと思っていたので、完全にストライカー枠で興梠のバックアップをしている起用自体が正直あまり理解できていません。だから大槻監督も窮屈そうにしているワントップで使うよりも、シャドーでのびのび後ろから飛び込ませたほうが良いんじゃないかなーとか思っているのですが、どうなんでしょうね。

同じ意味で、汰木をシャドーで使うのもあまり好きじゃない起用で、汰木はターンが上手じゃないし、タッチ数が多いうえに内回りするので危ないと思うんですけどね。だから彼はWBのほうが良いんじゃないかなと思います。反対にWBで使ってもかわいそうなのが山中で、サイドチェンジ受けても縦にいけない山中はあのポジション窮屈だろうなあと思います。いっそのことボランチで使ったほうが良さが出たりして…、と言ったところで誰にも相手にされなさそうですが。

 

ということで、チラ裏おわり。明日の広州戦はどんな試合になりますかねえ。