96のチラシの裏:浦和レッズについて考えたこと

浦和レッズを中心にJリーグの試合を分析的に振り返り、考察するブログ。戦術分析。

鬼門ベアスタでフィッカデンティの「枚数合せ」に苦戦…。 Jリーグ第21節 vsサガン鳥栖 分析的感想

前節はミラーゲームを仕掛けてきた長崎に勝ちきれず、無敗を継続させたものの連勝は途切れた浦和。今節は同じく九州勢のサガン鳥栖と、浦和としては鬼門アウェーとなるベアスタでの対戦となりました。

最初に整理しておきます。前節の今村主審同様、今節の上田主審の判定も安定しておらず、試合中いくつかの(そして重大なものも含む)判定には疑問が残りました。そして浦和としては後半の同点ゴールを「取り消された」ことで、ここ2、3試合で納得できない判定が続いていることのストレスと併せ、「審判に試合を壊されている」という印象と不満が蔓延っています。試合終了直後は96も同じ印象でした。一方で、試合を見直していくうちに、(当然のことながら)浦和だけが不利益を被っているわけではなく、鳥栖側にPKでもおかしくないシーンがあったことに気づきました。また不安定な判定に関係なく、この試合が両チームの戦術的な工夫や対話が多くあった戦術戦であり、非常に見所の多いゲームだったことから、いつもどおりそれを出来る限りなぞっていきたいと思いました。従って、依然として審判についての疑問はいろいろあるものの、当ブログではそれ以外の部分にフォーカスしていきたいと思います。

 

両チームのスタメンと狙い

スタメンは下記の通り。

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浦和側控え:福島、荻原、森脇、阿部、マルティノス、菊池、李

 

浦和は最近3~4試合スタメン・ベンチメンバーを固定しています。記事を書く方としては楽です。やってる選手はつらいでしょうけど。一方の鳥栖トーレス&金崎の強烈2トップをサイゲマネーで補強。前節はフラットの4-4-2を採用していたようですが、今節は小野をトップ下に置くダイヤモンドの4-4-2を採用していたようでした。

前節の長崎同様、鳥栖もまた今シーズン苦しんでおり、残留争いの真っただ中。浦和としては、「まず負けない」の精神で守りを固めてくるであろう相手をいかにこじ開けるか?堅守に加えてボール保持時の形をデザインできるか?というのが今節のテーマと言って差し支えないかと思います。とはいえオリヴェイラ・レッズの攻撃における基本的な起点はサイドであり、両サイドのWBというところは変わりません。

今節により大きな狙いと工夫を以て仕掛けてきたのは鳥栖フィッカデンティ監督でした。戦術家らしく、オリヴェイラ・レッズをよく研究しており、4-4ブロックの間の高さでサイドに起点を作る浦和のWBへの対応が守備時のキモになること、そしてそれをケアしつつ自軍の強烈2トップを活かし、堅守の浦和へ攻撃を仕掛けていくというのがフィッカデンティ監督の基本的な考えだったように思います。

鳥栖が中盤ダイヤモンドの4-4-2を採用した理由は本人に聞くしかないところですが、おそらくはビルドアップが念頭にあったことと思います。鳥栖の2トップは空中戦に強く、ボールを繋ぐよりも空中戦で彼らにボールを当てたほうが確立が高いと判断したのでしょう。鳥栖の2トップは浦和の3バックとマッチアップすることになり有利とは言えませんが、反対に浦和の中盤、ボランチの担当するエリアを取り囲むように鳥栖の中盤のダイヤモンドが位置します。攻撃時にはこの4枚がセカンドボールを回収することで素早く攻撃を組み立てるという狙いがあったのではないでしょうか。

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フィッカデンティ監督vs柏木陽介

フィッカデンティ監督は浦和をよく研究し、それゆえに浦和のWBをフリーにすれば浦和の攻撃のリズムが出来てくることを見抜いていたように思います。すると、必然的にこのWBを誰が見るのか?が鳥栖にとって非常に重要になります。今節の鳥栖は中盤ダイヤモンドの4-4-2を採用していますので、候補はSBかIHということになります。また、フィッカデンティ監督は浦和のWB起点のビルドアップに加えて、浦和のシャドーに入るファブリシオと武藤の攻撃性能、特に縦パスを受けてからのターンやペナルティエリアに侵入した時の個人技を警戒していました。この時、もし鳥栖のSBが浦和のWBをマークするためにサイドに張り出せば、武藤、ファブリシオにプレーエリアを与えることになります。

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従って、WB対応のために鳥栖のSBが外に出ていくのはNG。4バックはペナルティエリア幅を埋めるようにポジショニングし、SBをWB対応に使う事はできません。すると必然的に、IHに入った福田と原川の運動量を浦和のWBにぶつけるという作戦が見えてきます。

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DAZN解説の中払氏は鳥栖が5バックで守っている、福田が右WBの位置で守っていると指摘していましたが、実際には逆サイドの原川も試合開始当初は浦和右WBの橋岡のマークに入っていました。つまり鳥栖は状況に応じては6バックになるような形で浦和の前線+WBの5枚をマークしていました。これによって浦和のWBを起点にした攻撃を深い位置で受け止めるのがフィッカデンティ監督の当初のアイデアだったのでしょう。

またもう一つ、フィッカデンティ監督が意識していたのが柏木陽介でした。最終ラインに最大5枚を使って最後尾を固める一方で、浦和のビルドアップに対してはトップ下の小野をマークに付けることでパスの供給源を塞ごうとしていたように思います。

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事実小野は浦和のビルドアップの際、特に序盤は守備時柏木にマンマーク状態でべったりと張りついていました。これを素早く認識し、対応したのは他ならぬ柏木だったのではないでしょうか。自身に小野がついてくることを確認すると、ビルドアップ時にサイドに流れることで小野を中盤から連れ去る動きを繰り返していました。

すると、鳥栖の残りの守備者は、あまり守備タスクを課されていない2トップと高秀先生ということになります。高秀先生は鳥栖の中盤に広がる広大なスペースを一人で管理する仕事を、間接的とはいえ与えられていました。まさに現代日本社会を鏡のように映しだすワンオペディフェンスです。

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さて、この状況で自由を得るのは主に青木です。従って浦和は序盤青木がビルドアップの出口となり、前線へパスを供給するシーンが多くありました。また、高秀先生の両脇のスペースは出入り自由ゾーンのため、ファブリシオや武藤がこのスペースを使うことができていました。逆に鳥栖は、最終ライン数的優位なわけですから、このように浦和の前線の選手が降りる動きには全力でマークが付いて行って迎撃しなければなりません。

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ということで鳥栖の最終ラインは時々信じられないほどぐちゃぐちゃになり、14分にはペナルティエリアをカバーするのが吉田豊一人となり、武藤と1on1というシーンすらありました。このほか、高秀先生一人の鳥栖バイタルエリアでは浦和の選手が自由にセカンドボールを回収することで攻め直しが可能になっており、結果的に浦和が中盤の優位から試合を支配する展開となりました。

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浦和としてはこの序盤に先制点を挙げて試合を優位に運びたかったところです。とはいえ具体的なチャンスといえば7分の橋岡クロスに興梠が中で合わせたシーンと、18分にファブリシオが惜しいロングシュートを放ったシーンでしょうか。柏木は上手くビルドアップを支配して前線へボールを供給できていたと思いますが、鳥栖の迎撃守備を崩せていたかというと微妙なところ。チャンスクリエイトの質と量は正直まだまだといったところです。できれば鳥栖の迎撃戦隊6バックマンを中盤に誘いだし、頻繁にひび割れが起きていた最終ラインのギャップにアタックしたいところでしたが、シーズン中のスクラップ&ビルドを断行したクラブに守備も攻撃も組織力も求めるのは少し酷というところでしょうか。

 

 

互角になっていくゲームとベアスタの空気

飲水タイムを使って、フィッカデンティは守備に修正を加えたようでした。小野がトーレスと金崎に説明しているシーンが抜かれていましたが、おそらくここではっきりと5-3-2を作る指示がでたのではないかと思います。小野が柏木をマンマーク気味にマークする5-2-3の場合、2の原川がサイドに流れれば上述のように高秀先生が一人で中央を見る形になります。これを解消するために攻撃時トップ下に入る小野をはっきりと中盤の守備に使ってしまい、高秀先生と小野の2枚のボランチのような形でセット守備を作ろうとしたのではないかと推測します。

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これによって柏木へのマンマークが難しくなりますが、おそらくそれよりも中央のスペースを消すことを優先したのではないでしょうか。しかし、ピッチ上で影響があったのは小野の位置を修正したことよりも、一本のシュートだったように思います。

飲水タイム以降に鳥栖が試合を上手く運んだことの要因の一つに、直後の金崎の惜しいシュートがあったのではないかと思います。権田のゴールキックからの流れで、セカンドボールにトーレスと小野が関わると、金崎に収まったボールを反転からグラウンダーミドルで狙ったシュートは、惜しくも西川にセーブされましたが、タイミング的にも役者的にも鳥栖が息を吹き返すにはうってつけであり、それが狙いだったとはいえあまり文脈とは関係なくゴールをこじ開けられる選手を起用するメリットを存分に発揮したシーンだったと思います。僕はDAZN観戦でしたが、鳥栖サポーターがこのシュートで盛り上がったのがよくわかりました。ベアスタは客席がピッチに近いためにスタンドのテンションがピッチに反映される係数が高いという印象があります。同様の雰囲気があるのは柏日立台で、この2つのスタジアムは浦和が相対的に苦手にしているスタジアムという印象です。

ということで、完全に息を吹き返した鳥栖。飲水タイム以降の時間は鳥栖がボールを保持し試合を進めていきます。鳥栖の攻撃戦術は主に2パターンあり、一つは前述のロングボールやゴールキックからの2トップの競り合い→中盤ダイヤモンドでセカンドボール回収。もう一つはIHを大きくサイドレーンに張らせ、攻め上がるSBとともにサイドで数的優位を作って中央に勝負のパスを供給するパターンです。35分にはこの「もう一つのパターン」で大チャンス。ビルドアップの流れから原川が最終ラインに落ちると、それを受けて吉田がWGの位置に張り出します。

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原川にボールが渡りルックアップすると、吉田が突然のスプリントでエリア内にダイアゴナルラン。橋岡がギリギリで付いて行きエリア内でチャージすると、勢い余った吉田がポールに膝を強打。成功はしませんでしたが、IHがサイドに張り出すことで数的優位を作り、浦和の5-4-1守備のシャドーとボランチがケアすべきポイントを曖昧にした上での吉田の仕掛けが光った場面でした。橋岡は反応が遅れましたが、吉田の走りだしと原川のボールが完璧だったと思います。橋岡のチャージはまともに取ればイエロー+PKが妥当だったのではないかと思いますが、ここは浦和は救われました。一方吉田はこのプレーで残念ながら交代となってしまいました。吉田が大きな怪我ではないことを祈ります。

その直後の37分には浦和に大チャンス、最前線から降りてきた興梠のフリックをファブリシオが無理やり収めてエリア内に侵入。

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相手守備を全員エリア内に引き込んでのマイナスの落とし。バイタルでフリーの武藤が左足で合せますが、まさかのバー直撃。高秀先生+小野の中盤ケアで中央突破が難しくなっていたにも関わらず、食いついてくる最終ラインをフリックとファブリシオの個人能力でこじ開けたという場面だったので、浦和としてはここは決める場面でした。

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武藤のプレースタイルも彼の価値も十分に理解しているつもりですが、9番として決めてほしかったところでした。本当に浦和が先制していれば…というゲームだったのですが。

その直後の38分にはまたもゴールキックから金崎にシュートまで持ち込まれるなど、試合は完全に互角の展開に。このシーン、中盤ダイヤモンドの数的優位でセカンドボールを繋がれ、その際に浦和最終ラインで岩波だけラインを下げてしまったことで生まれたスペースを金崎に使われました。岩波が瞬間的に(おそらく)無意識にラインを下げるのはスピード不足の自覚なのではと思います。ギリギリで滑り込んだのが槙野だけでなく岩波自身でもあったことは悪い中に見つけた良い点だと言えますが、どうしても彼を使う上でこのようなシーンは覚悟しなければなりません。

お互いがお互いの狙いでゴールに迫るスリリングな試合は、ベアスタの空気の高まりそのままに互角のまま後半に突入していきます。

 

フィッカデンティの枚数合せ。左右非対称の532。

後半、フィッカデンティ監督は福田を左IHに移し、飲水タイム以降原川がケアしていた橋岡を任せます。その分小野が右サイドに回りました。フィッカデンティ監督としては福田はエースキラーのような存在らしいので、この試合の前半のパフォーマンスで橋岡の突破のほうが脅威であると考えたのでしょうか。または、小野のタスク過多を避けるために左右を入れ替えたのかもしれません。鳥栖は福田が下がる疑似5-3-2を後半の守備の基本形としていました。

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この疑似5-3-2、福田が下がる分左右非対称となり原川の左脇のスペースが空いています。浦和はこのスペースに武藤が降りることで鳥栖の5バックを引っ張り出し、そこからのコンビネーションを狙いました。一方で鳥栖は4バック+福田のバックラインは迎撃タスクが前提となっていますので武藤やファブリシオが降りる場面で付いていくことに躊躇はありません。さらに場合によっては小野が宇賀神を捕まえて最終ラインに入り込み、6-2-2の形になることも厭わない徹底ぶりで、浦和の攻撃をブロックしていました。この時点ではお互いの攻守の狙いが噛み合っており、浦和が攻めるも鳥栖が人数をかけて守り割らせないという展開がしばらく続くかと思われる展開でした。

しかし、セットプレーに流れは無関係。後半最初のCKで鳥栖が先制点を奪います。原川のボールをファーで高秀先生がぶち込み先制。前半のワンオペ営業を乗り切ったご褒美だったでしょうか。自分のマークよりも先にジャンプし、腕や身体で相手の肩を押さえることでのしかかるプレーはバスケのリバウンド争い等でよくみられるテクニックですが、この要領で橋岡は無力化されていました。露骨にやればもちろんファールになるプレーですが、ここではゴールが認められる結果となりました。一部で指摘されている通り、橋岡はセットプレーで相手に遅れるシーンが目立っており、前半もファールになっていないだけで相手を引き倒してしまっているシーンがありました。橋岡はたぶんかなり疲れが溜まっているんじゃないかと思います。Jリーグはクリーンという割にセットプレーではホールディングやプッシングのオンパレードという世界ですし、ポジション的に相手チーム屈指のエアバトラーたちとやり合わなければいけない橋岡は大変ですね。今回は19歳のルーキーが経験豊富な選手に狙われてしまったかもしれませんが、これも今回は勉強と割り切るしかないでしょう。今は悔しいところですが、橋岡はこういうところから学んで強くなってくれる選手だと思います。そうして全てのエアバトラーたちは最終的に橋岡の糧となり橋岡のプレーに取り込まれ日本そして世界のサッカーの未来に貢献していくのです(セカイ系)。

別に意外なことでもないのですが、鳥栖トーレス、金崎、高秀先生、もう一人の高橋、キムミンヒョクとエアバトルに優れた選手が多いことが一つ強みですね。浦和のCKも悉く跳ね返していましたし、セットプレーに強みがあるのは上位だろうと下位だろうと、とりわけ下位に沈むチームとしてはかなり大きな強みではないでしょうか。

 

小野裕二の献身と定番化した交代、そして”取り消し”

鳥栖はその後も守備のやり方を変えず、5-3-2または6-2-2で守る徹底ぶり。対して浦和は、

ビルドアップを3バック+青木の4枚に任せて柏木が高い位置を取り始めます。それに合わせて武藤が原川の脇のスペースに降りることを基本に、最終ラインから槙野や岩波が高い位置を取ることで前線に枚数を増やし、鳥栖の6バック攻略に出ます。

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実際、武藤やファブリシオが中盤に降りることで鳥栖のディフェンスを一時的に4-4-2の状態にし、最終ラインに穴を作ってその裏を狙うという意図通りのシーンが53分、58分と見られたので、できればここで仕留めたかったのですが、やはり最後の質はもっと時間をかけて構築する必要があると思います。もしくは、早い段階でファブリシオに50:50のボールを預けてみるというやり方でも良かったかもしれません。ということである程度狙いを実行し計画通りに試合を運んだもののリードを許してしまうという、浦和としては苦しい展開となってしまいました。

以降は浦和がボールを持つものの鳥栖の5-3-2~6-2-2のディフェンスを崩し切れない展開が続きます。一方の鳥栖は潔いまでの最終ラインでの迎撃作戦とロングボール攻勢で試合を進めていきました。ここで目立ったのは小野裕二で、守備時は時々6バックの一員となりながら、基本的には中盤を埋め続け、攻撃時にはトーレス、金崎と並んで最前線でロングボールに競り合い、ボールをキープできれば間受け、クロス、ラストパスと縦横無尽に動き回り、鳥栖のプレーするあらゆる場面に関わっていました。少し前の彼の印象はとにかくゴールに絡みたがるアタッカーという感じでしたが、鳥栖での日々で何かに目覚めたのか、前半の重労働から解放されてなお後半もピッチの至るところを走り回る彼のプレーは非常に印象的でした。あと、地味にトーレスがバックヘッドで味方にボールを落とす競り合いスキルが上手かったのも印象に残りました。ああいうの上手い選手、あまりJリーグにはいないですよね。

なかなか状況を打開できない浦和は65分に青木に替えて阿部、橋岡に替えて森脇を投入。更に75分には興梠に替えて李を投入。これで阿部はJ1通算550試合出場を歴代最年少で達成。これらの交代もだいぶ定番化してきましたが、裏を返せばここ数試合はチームの課題も使える人材も変わらない、ということでしょいう。チームの台所事情が劇的に変わることはないので当たり前ですが。また、WBに入る森脇は仕掛けて抜いていくタイプでもないので、パスで崩していくスタイルも変わりません。人を替えてもやり方があまり変わらないレッズは65分に武藤が原川脇でボールを受けて興梠へ惜しいスルーパス、80分には森脇がダイレクトパス2本で中央に侵入し最後はファブリシオがミドルを狙いますがうまくミートせずに枠外、88分には阿部に後方を任せて高い位置に進出した柏木が武藤の裏抜けにスルーパスを合わせますが権田に防がれてしまうなど、あと一歩でゴールをこじ開けられないままに時間が過ぎていきます。

そして、武藤のシュートが弾かれたことで得たコーナーから李がネットを揺らしたもののファールで取り消し。李が権田の後ろを回った瞬間に足が一瞬かかっており、権田のバランスが若干崩れたことをファールと見たのでしょう。李としては足がかかった瞬間は意図してかけたわけではないはずなので、あれだけ抗議するのだと思います。しかし判定は判定でゴールは取り消し。そのまま試合終了となりました。

 

中位に分断の兆候、チャンスを決めなければ生き残れない

というわけで今節は悔しい1-0の敗戦となりました。ただ内容的には序盤の優位で試合を決められず、フィッカデンティ監督の度々のフォーメーション修正により枚数を合わせられてWB起点の攻撃に対応された中盤以降は最後の決め手に欠くといったもので、審判団の判定云々というより相手を崩し切るだけの実力が無かったということだと思います。考えてみれば、前に出てくる上位の攻撃を受けきってやり返した2連勝の後に、浦和自身の攻撃の質はどうなんだ、と真価を問われた2試合で勝ちきれなかったということで、発展途上のチームとしては妥当な結果かも、とも思います。

一方で、リーグ全体を俯瞰するとあまり悠長なことも言っていられません。長らく広島、東京、川崎が抜け出し、4位以降は札幌以下中位グループが10チームほどひしめいている状態でしたが、そろそろ上下分断の兆候が見られます。その震源地になりそうなのが勝ち点28同士、9位のレッズと10位の磐田の対戦、勝ち点30で5位のセレッソと勝ち点27で11位の清水の対戦、勝ち点29で8位の仙台と勝ち点26で12位の湘南の対戦と中位同士が潰し合う次節ではないでしょうか。

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次節は水曜日開催とコンディション的にも難しくなりますが、真夏の潰し合いで後れを取れば一気に中下位グループの泥沼の争いに逆戻りとなってしまい、今後のリーグを戦っていくうえでメンタル的にも厳しくなってしまいます。やはり浦和としてはギリギリACLを狙える4位(神戸:勝ち点32 )を目指していきたいところ。そのためにはやはり前線の選手たちの決定力、チャンスを決めきる力が必要で、生き残りのためにも次節は勝利が求められるところです。

 

今節も長文にお付き合い頂きましてありがとうございました。