96のチラシの裏:浦和レッズについて考えたこと

浦和レッズを中心にJリーグの試合を分析的に振り返り、考察するブログ。戦術分析。

「今の浦和はゾンビみたいなチーム」という表現の補足とか

「チラシの裏」はじめます。

自分のブログの記事がやたら長くなっていることへの自覚と反省はあるんですよ。でもなるべく誤解の無いように、そしてなるべく自分の言いたいことがしっかりとした筋道で伝わるように、もしくはこの話題に触れたらあれにも触れておきたい、といった具合にどんどん長くなっていくわけです。でもそうすると書くことのハードルはどんどん上がっていくわけで、「自分の頭の中でぐるぐる回っているこの考えを文字に起こすとどうせ1万字になるし、書きはじめたら何時間かかるんだろ…」的な消極的姿勢にぐりぐり潰されちゃうんですよね。このあたり、僕がフォローしている紅い雪だるま@red_snowman1919さん(以下、僕の中の通称「紅雪さん」)にしばらく前に「気合い入れすぎても続かないから自分が続くペースで長く書き続けてくれればええんやで(意訳)」と言われながら、最近「分析的感想」をまっっったく書けていなくてお恥ずかしい限りです。紅雪さんはいつも試合終了直後に(たぶん観ながら書いているのだと思いますが)感想をぱーっとアップしてしまうんですが、継続こそ力なりなんだろうなあと尊敬してます。

他方、ツイッターのほうは140文字?120文字?という制限があって、(よくスレッドでダラダラ書くものの)いらない部分をそぎ落として書かざるを得ないので違った感覚で書けているのかなあと思っていたりします。

ただ、5,000字〜1万字を超えるようながっつり書いている記事と、140字〜多くて600字の間のツイッターの間で書きまとめるということをやっていないなあというのが引っかかっていました。読みやすいボリュームで書いていくというのも面白いかなと思ったのと、気合い入れて記事を書くほどでも無いけどツイッターだとまとめきれないような話題をどこかに残しておきたいなあというところで、「チラシの裏」というカテゴリで日記みたいなものを書いてみることにしました。よく考えたらこのブログ自体「チラシの裏」なのだからこんなに考えなくても良いのですが、そこは性格なんでしょうね。

ということで、「チラシの裏」は5,000字以下くらいでまとまればいいかな〜と思います。短ければ短いほど良い。真の意味での「チラシの裏」だけにツイッターで「書いたよ〜」的宣伝とかはしないつもりなので、暇な人がたまに見てくれたら嬉しいです。

 

「丸投げ」について

で、レッズはというと昨日の天皇杯でHonda FCさんに順当にジャイキリされ、来シーズンのACL出場権を事実上失ってしまいました。こういうことになると毎度のごとく、結果への不満かはたまた遣る瀬無さか、試合後の挨拶で客先を回る選手に罵声をおもくそぶつけたりバスを囲んだりするわけですが、やはりJリーグサポーターの育んだ歴史的伝統芸の一つとして評価が高いのはフロント批判でして、「強化部仕事しろ」的なアレがわーっと出てきます。

で、わーっと出てきたフロント批判に僕もわーっと思ったことをツイートしたらそれなりに反応があって、それがポジティブなのかネガティブなのかはよくわからないのですが、ツイートした意味みたいなものはどこかにしっかり書いておきたいので、自分の考えの地産地消に挑戦してみたいと思います。

まずはこれ。「強化部仕事しろ!」が派生して、「監督に丸投げじゃねーか!」という批判がよく出てくるんですが、これは結構気をつけないといけないなと思っています。「丸投げ」という言葉自体にネガティブなイメージがついているためにややこしくなっているのだと思いますが、スポーツクラブにおけるフロントと現場の関係においては「丸投げ」って結構正しいと思うんですよね。それを考えるために必要なのが反対語を考える視点で、丸投げの反対ってフロントが現場に介入するということなんですよ。プロ野球なんかでよくある話ですが、現場にとっては「金は出すけど口は出さない」オーナーが最高なんですよね。やっぱり現場のことは現場が一番よくわかっているわけですから、中途半端に「上」から介入されると現場で積み上げていたストーリーが崩れます。最たる例がオーナーが監督にFAXでスタメンを指示する的なアレなわけですが、それを考えれば信頼とともに丸投げされている状態は現場にとっては仕事がしやすいんじゃないかと思います。実際浦和もミシャに「丸投げ」した時期は(タイトルこそ少なかったものの)着実な成長と結果を出していたわけで、僕は「丸投げ」が悪とは思わないです。

ただ一方で、「丸投げ」していた監督が去った後は?とか、「丸投げ」した監督が盛大に転けたら?とか、フロントが考えておくべきことはやっぱりあって、浦和が陥っているこの苦境もまさにこの部分に問題があるのだと思っています。

 

「今の浦和はゾンビみたいなチーム」の補足

で、これ。「ゾンビ」に託した意味が実はしっかりあって、でも一番表現できなかった部分です。端的に言えば、僕はここ最近の浦和レッズは終わりつつあるサイクルを無理やり終わらせていないチームなのではないかと考えています。本当は全部ファクトを確かめて考察したいんですが、おそらくこの延命措置はミシャを切った2017年シーズンから始まっているのではないかと思います。「丸投げ」で勝ち点74を叩き出したミシャ・レッズに対して、結果を求める中で解任という決断を下した浦和レッズですから、当時から結果へのプレッシャーは相当に大きかったと思います。はじめてのACL優勝から10年というタイミングも手伝ったかもしれません。で、結果的にラファのゴールでACLを制するわけですが、年末まで戦った関係か翌年のゆるゆるキャンプで調整失敗、序盤に躓いてしまったことで堀監督を早々に解任、大槻暫定監督を挟みつつ強化部の体制も一新し、立花社長・しゅーたん体制は「勝つサッカー」(=結果を出すサッカー)の旗手としてオリヴェイラを招聘、で、なんやかんやで天皇杯優勝と続きます。今考えればこの時期の浦和フロントは、一種の「結果コンプレックス」に陥ってたのでしょう。2011年のオフに「継続性コンプレックス」に陥ったことからミシャにたどり着いたことを考えれば、「結果コンプレックス」に対するオリヴェイラというのは選択肢として素直に理解できる気がします。

で、天皇杯でまた年末まで戦って、翌年(つまり今年)のキャンプです。ここからはただの想像ですが、オリヴェイラはやはり4バックを採用するつもりだったのだと思います。一方で、2年連続で年末まで戦い切った主力(ちなみにその多くは4年も5年もずっと主力)はコンディションが出来ていない。またミシャの集めた選手たちが4バックに馴染むまでにも時間がかかる。いきなり失敗すれば心理的にも4バックに取り組めなくなるかもしれない。となればリアリストのオリヴェイラは、序盤は昨年のベース(つまり慣れ親しんだ3バック)で乗り切って、ACLのグループステージを突破したころから本格的な4バック導入、その頃には4バック採用を見越して獲得した新戦力もチームに馴染み、終盤戦は3バックと4バックを使い分けて(=2チーム分の戦力)、対戦相手に合わせて連戦をこなせる「結果を出す」チームを作る…と考えていたのではないか、と思うのです。そのための、練習試合一切なしのコンディショニング全振りキャンプ。

しかし、前年の天皇杯優勝とACL出場権のために身を粉にして戦った戦術的大黒柱の武藤と青木の負傷離脱も相まって勝ち点を稼げず、このプランは初期の段階で崩壊しました。これにはまだ自分なりの答えを見つけられていないのですが、武藤と青木がいないのは最初からわかっていたのに、なぜ主力組のコンディショニングで序盤を乗り切るような舵取りにしたのでしょうかね。そもそも序盤3バック→終盤4バックを導入し二刀流という僕の予想が全然ちがうのか、オリヴェイラなりの誤算があったのか。まあそれで、この話のキモは何かというと、オリヴェイラは世代交代しようと思えば出来たはずなんです。単純に今年の序盤から最も得意な4バックで行くと決めれば良かった。そのためのキャンプにすれば良かったんです。でもそうしなかった。彼が選んだのは前年までの主力を最大限に活かしたこれまでと同じ3バックだったし、せっかく獲得した新戦力の起用も限定的でした。そして歴史は「結果のため」のオリヴェイラ解任、大槻監督の正式就任、現在と続きます。

つまるところ、堀さんが踏襲しなかった時点でほとんど終わる運命にあった「ミシャのサイクル」を、「結果」のために終わらせられていないのがこの2年間ではないかと思うのです。これが、僕のいう「延命措置」であり、その結果としての「ゾンビ」なんです。またこの意味では、大槻監督を無能とも言い切れない引っかかりがあります。大槻監督もオリヴェイラと同じく、シーズン途中からチームを引き継いだわけですが、彼もまたオリヴェイラと同じように、自分の色を出しているのかよくわかりません。もしかしたら大槻監督も就任時に、前任者と同じような決断をしたのかもしれません。

まあこれも結果論といえばそれまでです。その時々を振り返れば、「結果」重視の起用は妥当だったと思うし、大槻監督が(おそらく)意識して起用している控え組のパフォーマンスを観ても十分とは思えないし、「サイクルを終わらせるために主力を使う頻度減らしまーす」とも言えませんし。もしかしたらオリヴェイラも大槻監督も、予想以上に控え組からの突き上げが弱いことに苦労しているというのが本当のところかもしれません。僕は僕で、じゃあ「ゾンビ」をどうすべきだったのか?にも答えは持ち合わせていません。

 

長期的なビジョンへの不安とか、現実とか、でも応援するとか

で、その後のツイートはこんな感じ。このへんの人事権に関する構造的な課題については、例の記事等々で書いた通りです。

ここで「現実」と書いたのは、これが浦和レッズの成り立ちからの経緯がずーっと絡んでいる問題だからで、この現実は簡単には変わらないんですよね。浦和レッズ株式会社の株主を今から変えますか?三菱重工と決別しますか?みたいな選択肢は「現実」にはないわけで。だからこそ、現実とは向き合い続けるしかないんじゃないかな、と思っています。これは素人が首を突っ込むには複雑すぎる問題で、でも三菱重工から派遣される社長には絶対に解決できない「現実」なんですよね…。

まあとにかく、今は残留のために、そしてACLで存分に暴れるために、目の前の試合一つ一つを一生懸命応援するしかないのかなーという感じです。

 

「チラシの裏」、こんな感じで、たぶん時々書きます。