96のチラシの裏:浦和レッズについて考えたこと

浦和レッズを中心にJリーグの試合を分析的に振り返り、考察するブログ。戦術分析。

2021シーズン全選手振り返り(上)

今年は誰にも頼まれていないのに書き始めてしまいました。今年は比較的書きやすかったですが全員分書くのは相変わらずつらかったです。

出場記録は例のごとくSoccer D.B.さんのデータを主に参照(アシスト数はJリーグ公式)です。間違っていたらそれとなく教えてください。

1 GK 西川周作

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J1では新星・鈴木彩艶に6試合ゴールマウスを明け渡すことになったものの、中盤戦以降のゴールを守り続け、天皇杯では1失点で優勝を果たすなど守護神健在をアピール。公式戦41試合出場はこれまでの西川の実績を考えれば決して多くありませんが、出場時の勝率56.1%は非常に良い数字ではないかと思われます。ただプレー面ではビルドアップで判断ミスから苦しい場面を自ら招くなど、「ビルドアップに対応できるGKですか?」という部分を問われるとそうとも言えないと思わせる場面も多く、またゴールを守るという部分でもすさまじいダイナミックさを見せてくれる彩艶との比較では保守的な飛び出しの判断を気にする人もいたかもしれません。実際のところ将来性やポテンシャルを評価に入れれば世界に出て行くべき才能を持つ彩艶を使う選択肢は現実的になってきており、西川にとっては来季は今季以上に競争に晒されるシーズンになりそうです。

一方で、現時点でJ1通算522試合出場で歴代7位、阿部が引退したことで来季は現役選手としては遠藤保仁に次いで2位となる経験値は他の選手にはない武器となっており、特に自分の守備範囲にボールが飛んできたときの処理ミスの少なさ、ボールをはじいた後の対応などのレベルは年々上がっている印象。槙野が攻撃的なプレーをある程度捨ててまで守備者としてのプレーに注力しプレースタイルを年々変えていったように、西川もまた浜野コーチの就任以降「目に見えない技術」を極めようとしているのかなと思います。特に素晴らしいのは守備時のコーチングで、特にショルツ加入移行は最終ラインからのコーチングの声がかなり減ってしまったレッズにあって西川のコーチングが果たしていた役割はかなり大きいと思います。相手がビルドアップをしている段階でボールと逆サイドのSHに対してポジションを修正するよう頻繁に指示していた声をどれだけの人が意識して拾っていたかはわかりませんが、片方のサイドで前進してくるボールを追いながら逆サイドの味方の立ち位置を調整できるGKは4-4-2をボール非保持時の基本的な配置とするチームでは本当に貴重で、3バックで守るチームに長くいた西川にとってはここ数年の大きな成長なのかなと思います。そういった細かい部分、目に見えない部分での彩艶との差はまだまだ大きく、来季も今季並みの出場機会を勝ちとれれば達成できる曽ヶ端準のJ1通算533試合越え、歴代5位の記録までは現実的に目指すことが出来るのではないかと期待しています。世代交代の波を感じつつありもしかしたら移籍もあり得るかと思いましたが、天皇杯優勝後に残留宣言で一安心。

2  DF 酒井 宏樹

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夏の移籍で名門マルセイユから電撃加入した現役日本代表は今季公式戦18試合に出場。ヨーロッパのカレンダーから一年半休みなし、しかもA代表の活動に加えオリンピックの活動もあるなかで18試合中17試合の先発出場は立派なものです。ピッチ上では持ち前のタフさを活かしてワールドクラスの球際の戦いを披露し右サイドのボスゴリラとして君臨。特に天皇杯準決勝セレッソ戦での間一髪スライディングなど、いざという時に無理をきかせてチームを救ってくれるあたりはさすが経験豊富な選手という感じでした。また攻撃面でもJリーグFC東京戦や川崎戦ではエリア内まで侵入してゴールを決めるなど攻守にアグレッシブなプレーで若くテクニカルな選手が多かった今季のレッズにパワーを積み上げてくれたのはリカルドにとっても大きかったでしょう。レッズの選手としてプレーした試合では2回しか負けておらず、出場試合の勝率63%は酒井以外の要素も大きいとはいえ化け物クラス。

一方でとある記事によればイニエスタを抑えて今季のJリーグでナンバーワンだったと言われる市場価値(約8億円)に見合うパフォーマンスを発揮していたかと言われると微妙なところで、特に柏時代の彼の代名詞でもあるオーバーラップからの高速クロスを浦和で披露してくれるチャンスは多くありませんでした。これは酒井本人の問題と言うよりも浦和の戦術とスカッド構成によるところが大きく、例えば右SHに田中達也を起用すると香車2枚でお互いに使いたいスペースやプレーを制限してしまった感じがあり、もう少し器用な関根と組んでもお互いに自分のアクションで目の前の相手を剥がしに行く選択肢を取ってしまうのかシンプルなコンビネーションでサイドの深い位置を抉るようなシーンはあまり作れていませんでした。受け手が酒井であれば何をするかバレバレのワンツーでも相手を引き倒してクロスまでいってくれそうなものですが、結局は酒井が気を利かせたかインナーラップからエリア内に突っ込み関根のクロスに飛び込んでいくような動きをするようになり、「たしかにすごい迫力だけど俺たちはこれが見たかったんだっけ?」と、ふとした時に思い返してしまうこともしばしば。僕なんかはこの半年間、10年前の記憶を引っ張り出しては「レドミさえいれば…!」と思い続けたわけですが、とはいえこれは逆に言えばこれはチームと酒井にパフォーマンスの伸びしろが残されてるということとも言えます。守備面で明らかに後ろが空いてしまうのにボールに飛び込んでいくような、酒井高徳氏の言うところの『欧州のサッカー』ムーブの修正も含めて、Jリーグにアジャストしたうえで欧州クラスの個人の質を発揮する姿を来年は見せて欲しいところで、もちろん本人もそのつもりでしょう。

来季の不安要素としては下手をすると今季以上に苦しいことになりそうな日程への対応で、天皇杯優勝の代償とも言える短すぎるオフの後にいきなりスケジュールされているA代表の活動に加え、浦和でもACLによる国際移動があるほか、W杯の開催のために11月で終了となる詰め込み式Jリーグおよびカップ戦を一人で戦い抜くのはほぼ不可能と言えます。そういったこともあって同じポジションにリカルドのサッカーを知っておりレギュラーとして十分起用できそうな馬渡を獲得したのでしょうけど、本人の性格的にはすべての試合に出たいはず。高いレベルの競争は歓迎ですが、今季もあまり休んでいないので、疲労と怪我だけには注意してほしいところです。

3 DF 宇賀神 友弥

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「結局は宇賀神」伝説も今季でついに終焉。ユース出身選手の大卒カムバックルートを開拓してからはや12年。もしかすると2012年オフのボーフムからのオファーを断ったあたりからワンクラブマンとして浦和で現役生活を全うする夢を描いていたのではないかと思いますが、こんな終わり方とは僕も想像していませんでした。目標と語っていた平川のJ1リーグ通算336試合出場まであとたった43試合、通算300試合を祝うまであと一歩の通算293試合。せめてあと1年か2年、本人がもうだめだと言うまでやらせてあげたかった。

とはいえ、戦術的な理由での放出には納得できるところもあるのは事実で、全盛期のような初速の速さを活かした静止からの仕掛けは既になかなか見ることがなくなっており、サイドの高い位置に彼を置いたところで次に何が起きる?というと難しい部分は間違いなくありました。両SBをこなせるといっても現役日本代表の酒井を獲得できるクラブですから、「こなせる」というだけではなかなか難しいわけで、戦術眼の良さや経験があるとはいえサイドの選手に求められるフィジカルやテクニック面での優位性を発揮できなくなりつつある選手が生き残っていくのは難しいのでしょう。その意味では、昨年の大槻監督やリカルドが彼に対してボランチへの挑戦を考えさせるような声掛けをしていたことはある意味で彼の生き残りの道を提案したものだったのかもしれません。周りを動かし、バランスをとるのが自分の長所と言い切っていただけに、サイドにこだわらずに生き残るのも良いのではないかと考えたのかなと…。まあ、最後は本人が決めることなんですけれど。
チームを作り上げる、選手同士の人間的関係性を繋ぐという意味では苦労人らしく厳しいことも言えるし励ますこともできる貴重な人間だと思いますが、プロはやっぱり必要としてくれる場所でプレーするのが一番だと思います。どうやら移籍先として柏木も所属するJ3岐阜が上がっているようですが、個人的にはカテゴリーを問わず若くて活きが良いけど経験不足な選手が多いチームでまとめ役になるのが一番良いのではないかと思います。
最後の挨拶で浦和のGMになると高らかに宣言した通りいろいろな経験をしていつか浦和に帰ってきてほしいですが、今の浦和にはGM職はなくフットボール本部長、SD、TD体制となっているので、ウガの言っていたGMは僕の知っているGMではないかもしれないとちょっと不安になっています。ゲームマスターとかかな。

天皇杯準決勝のミドルシュートは本当にしびれました。まだまだ頑張ってね、ウガ。ありがとう。

4  DF 岩波 拓也

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新背番号として4番を背負った今季はキャリア最多の54試合出場、そのうち先発48試合、Jリーグではチームトップの3,253分出場と主軸中の主軸としてシーズンを全う。最大の武器である右足からの高精度フィードでアシストを記録するだけでなく公式戦2得点、リーグ戦ではプレータイム3,000分越えでイエローカード3枚のみ、ファールによる与PKなしと、総じてCBとしては十分以上の活躍を見せたと言えるのではないでしょうか。特にショルツが加入して以降はビルドアップや裏抜け対応への不安などがカバーされたことで安定感が増し、これまでよりも積極的にボールを持ち運ぼうとするなどリカルドのサッカーを体現する上で重要なプレーへのチャレンジも見られました。

一方で周囲の評価がいまいち突き抜けないのはどうしても弱点や短所が目についてしまうからで、特にビルドアップで窮屈なプレーが多く見られてしまうのはリカルドのチーム作りを考えても気になってしまうところ。高精度のフィードを持っていることは紛れもない事実なのですが、だからといって相手を見ながら左右・そして手前と奥のスペースへのボールの蹴り分けや、相手が寄せてくる勢いを利用していれ違ったりそこから逃げながらボールを前に運んでいく身体の使い方、さらにはそうしたプレーをシームレスに発動するためのボールの受け方、体の開き方、ボールの置き所など、ビルドアップに必要なプレーが上手いわけではないため、窮屈な場所にトラップしてしまい選択肢を失ってボールを捨てるしかなくなるようなシーンもしばしば。蹴れるということがビルドアップできるということではないという典型的な例とも言えるかもしれません。

こうした部分をリカルドや優勝を狙うフットボール本部が見逃がしていくわけもなく、来季は鹿島から同年代の犬飼智也の獲得が決定済み。来季は今季以上に激しい競争に晒されることになりそうですが、一方でゴール前でのシュートブロックは非常に上手いですし闘える選手なので経験ある守備者としては重宝されそう。努力の選手らしく課題に向き合ってレベルアップを図っていけば、クラブが期待しているであろう次世代のリーダーとしての存在感を高めていけるかもしれません。

5 DF 槙野 智章

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天皇杯決勝での劇的なゴールで有終の美を飾ったのはさすがの一言。あのシーンで次のプレー、自分のプレーをイメージできるのは普通の選手、というか普通の人間ではないでしょう。在籍10年を迎え、完全にベテランの域に達した34歳は今季公式戦に45試合出場。シーズン終了前に契約満了が発表となり、本人も大変ショックだったようですが、たしかにリーグ戦2,305分の出場で契約を切られるというのはなかなか受け入れがたい部分があるかなという感じ。プレー面では相変わらずリーグ最強クラスの対人性能を発揮し、昨年に続いて新しいサッカーに取り組むチームを前向きで大きな声と雰囲気づくりで引っ張り続けてくれたことに加え、ショルツ加入にともなってベンチに座る機会が増えた終盤戦は槙野大作戦の主砲としてまさかのロスタイム弾でチームに貢献するなど、ピッチのどこにいても「槙野だなあ」と思わせる活躍をしてくれました。

ただ戦術的な役割に目を向けると、ビルドアップでの貢献が限定的で、特に序盤は結果的にボランチが最終ラインに降り、空いたところに小泉が降りとビルドアップに人数をかけすぎてしまう遠因になってしまった感はありました。結局夏の補強で加入した平野やショルツがこうした課題を改善していくことになるのですが、ショルツと比べるのは多少酷とはいえ、チームの求める戦術的要件の変遷に彼の能力が間に合わなくなってきてしまったなかで、高年俸を負担しきれなくなってしまったというのがクラブ側の事情でしょうか。

ピッチ上の仕事という意味ではこの10年本当によく働いてくれたと思いますし、特に2016年以降チームの中の立ち位置が変わり、自身のプレースタイルも変えていく中でグループのリーダーとしての振る舞い、CB的なCBへの変化が見られたと思います。おそらくリーグ優勝を逃し続けたことやハリルホジッチとの出会いもあって勝つために何が必要なのか、チームに結果をもたらすために何をすべきなのかにフォーカスしていったのかなと思います。チームの方向性が迷子になった近年、ピッチ上の踏ん張りや選手たちの結束で何とか戦えたきたのは彼が親しみやすさを発揮して新加入選手をグループに取り込み、積み上げてきたコミュニティの力に拠るところが大きく、それがクラブが今新しいチャレンジを出来ている土台になったという意味で非常に重要であるのはリカルドも度々言及しているとおり。ピッチ外のことを含めて好き嫌いの分かれる選手でしたが、僕は本当によくやってくれたと思うし、特に昨年の横浜FC戦での振る舞いなど本当に苦しい場面でチームを助けてくれたことはもっともっと評価されて良いと思います。いつも言ってますけど、好き嫌いとは別の次元で良い悪いを判断すべきであるなら、間違いなく良い選手でした。

来季は神戸でプレーすることが決定済みですが、ひさしぶりに外から見る槙野がどんな感じなのか、楽しみなような、怖いような。

6 DF 山中 亮輔

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在籍3年目となった今季は公式戦34試合に出場。リーグ戦24試合1,711分のプレータイムは悪くない数字ですが、絶対的主力かと言われれば微妙な立場というのが率直な今シーズンのまとめ方になるでしょうか。

相変わらず精度と期待感がバグっている左足からのクロスは健在で、特にキャスパー加入以降は理不尽なクロスから理不尽な合わせでの得点への期待感が突き抜けていましたが、実際のところはあまりこのパターンの得点は見られなかったかも。シーズン中盤には左SB明本が機能してしまい出場機会を失ったことに加えて、終盤では怪我もあって思ったようにプレータイムを伸ばせなかったことは本人にとっても悔しさがあるでしょう。ショルツが加入してからは守備面のサポートが手厚くなり、ビルドアップ時においても相手のSHとSBの間で浮くポジションを取っている山中に速いパスが出るようになったことでついに弱みを消して強みだけを発揮することができるようになるかと思いましたが、その割に存在感を強められなかったような気もします。ちょっと不幸だったのはいわゆる0トップシステムを採用したときの典型的な不都合として裏を狙う選手がいないために相手を間延びさせられず自陣に選手が集まってしまうという状況がありましたが、こうなった時に山中がサイドでボールを貰っても当然ゴール前にはまともに人がいないわけで、山中が超絶クロスを上げたとしても合わせる人がいないんじゃねえ…というシーンが出てしまっていたことでしょうか。これは彼自身に非があるわけではなくて、ビルドアップに人を使いすぎるとその先で武器を持っている選手が活かしきれませんよという話で、今季の浦和の大きな教訓となったんじゃないかと思います。チームとしてもう少し彼を上手に使える仕組みが出来れば良かったんですが、逆に言えば、4バックで戦うこと、ボールの出し手を用意すること、ビルドアップの仕組みを整備して彼を解放し、そしてクロスの的をゴール前に置いておくこと、さらには守備時のサポートを用意するなどたくさんの要件を揃えなければその強みが発揮されないというのが彼の難しさなのかなというのがこの3年間の感想で、そりゃ出しておけば死ぬまで走って戦って無限に裏も取ってくれる明本のほうが使いやすいよ、という感じ。結局のところ破壊力は半端ないけれど使いこなすには準備が必要という意味では上級者武器であり、浦和には彼をスカッドに組み込むのはそもそも難しかったかもしれません。

というわけで来季はセレッソ大阪に移籍し心機一転を図ることが決定しており、上手く使いこなしてくれれば夢とロマンの詰まった凶悪な左足を元気にぶん回す姿が来年も観られるかもしれません。頑張って。

7 FW キャスパー・ユンカー

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移籍加入前はかなりゴタゴタしていましたがいざチームに合流すると圧倒的なスピードと決定力、ストライカーらしいポジショニングでゴールを量産。リーグ戦で9ゴール、ルヴァンカップで4ゴール(得点王)、天皇杯で3ゴールと大会を問わずゴールを決めまくり、最強の美貌と相まってリーグを代表するアイドルプレーヤーとなりました。

ただし怪我での離脱など稼働率が上がり切らなったのが玉に瑕で、リーグ戦では21試合1,302分の出場のみ。これで9ゴールは十分凄いのですが、彼の実力なら2,000分プレーして15ゴールくらいの成績は求めたいところでしょうか。プレーの面では加入前の予想通り思考回路がストライカーだなという印象で、基本的には自分がファーストアクションを起こすというよりは他の選手に反応した相手DFの隙をついてフリーになるのが好きな様子で、そういう意味でごちゃごちゃ動き回って無限に裏を取って相手の最終ラインをかく乱してくれる明本との2トップで出場した試合が最も楽しそうでした。相手とのギャップ、もしくはよーいドンの状態を作れれば爆発的なスピードで相手を寄せ付けずにフィニッシュできるというのがレオナルドとの大きな違いですが、ビルドアップで何かをする選手ではなく、自分がシュートを撃つためにプレーしているという点ではレオナルドと近いものを感じます。つまりは使いやすいFWというわけではなく、彼の良さを活かすためのパーツがいくつか必要なんだろうなあというのが個人的な印象で、ノーマークで特徴がバレていなかった春先はともかく、夏場に入ってくるとコンディションの低下とともに初見殺しがきかなくなって得点ペースが落ちたのは必然だったかなと思います。

こうした活躍の波はキャスパー自身の問題だけではないのでなんともいえないところですが、来季はチームとして彼をどう活かすが、そのために彼にボールを届ける形をいかに設計し実践するかがチームとしてのテーマの一つになりそう。「わかっていても彼にボールが入るのを防げない」状態を作れるかどうかに注目するとともに、彼がコンディションを通年維持してくれるかどうかもチームの成績に大きく関わりそう。えっ欧州移籍?ちょっと何言ってるかわかりません。

8 DF 西 大伍

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加入前はサイコパスとかなんとか言われてましたが、実際に見てみると何回かこの人変だなと思いました。でも別にピッチ上でウサギを捌いていたとかピッチ脇のボトルの水を全部ボールボーイにぶちまけるとかマッチアップの相手選手のかかとを90分間で30回以上踏みつけるとかそういうことはなかったので、多分何も考えずに周りに右倣えするのが好きではない、自分自身のキャラづくりを楽しんでいる人なんだなという印象でした。

プレー面では今季公式戦33試合出場、Jリーグでは25試合1,754分プレーと思ったよりまとまった時間をプレーしていました。酒井加入後はどうしても右SBのポジションを奪われてしまいましたが、序盤~中盤にかけてビルドアップがぎこちなかったチームを持ち前のテクニックで支えてくれていた感じでしょうか。いろいろなポジションが出来るという評価をされる選手ですが、個人的にはこの選手はやはり右SBでプレーしてこそだなという印象で、いわゆる偽SB的なタスクはまだしもボランチでの起用にはあまり期待しすぎるべきではなかったかなという感じ。あくまで異常に器用な右SBとしてプレーしてもらっているときに彼のユニークネスが発揮されるので、それが一番良いと個人的には思います。特に相手のスペース管理が甘い場合は内でも外でも空いているスペースに侵入して決定的な仕事が出来るのが強くて、ルヴァンカップ川崎戦での活躍に代表されるような攻撃面での貢献に助けられました。一方で守備時のインテンシティやトランジション対応は年齢のせいかプレースタイルのせいか強みにならなかったので、チーム全体として6人も8人もテクニカルな選手はおけないよという現実に照らすと、今後どこまで彼と冒険できるのかは不透明かもしれません。

来季はACLも含めて日程がタイトなためどこかでのらりくらりとやり過ごすようなサッカーも必要になりそうなので、あと1年レッズでプレーして欲しいと思っているのですが、どうでしょうか。

9 FW 武藤雄樹

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今季も適正ポジションがあるかどうかわからないところからスタート。本人は近年SHとして使われながらもFWで勝負したいと言い続け、でも結局ちゃんとやってくれるからSHで…と言う感じで便利使いされてしまっていたこともあり、勝負の年とは思っていたはず。シーズン序盤は4-1-4-1システムの0トップ役として出場機会を掴むなど先発出場も多く、いけるかなと思ったんですがキャスパー加入後はやっぱりSHをやっていたりと思うようにいかなかったか。献身的で技術があり、動き回れて間でも受けられるシャドーとして完璧な選手なんですが、それゆえにシャドーのポジションがないとなかなかプレーがハマらないというのは今季もあまり変わらなかったかもしれません。いくつか惜しいチャンスはあったと思うのですが結局浦和でも柏でもゴール0ということでかなり悔しいシーズンになってしまいました。ていうか柏でもあまり出場できていないしゴールもなかったんですね。

浦和としては一時代の終わりをかなり意識してしまう今季となりましたが、武藤には特別な思い入れがありますので、個人的には柏でもう一花咲かせて満足したら現役Jリーガーで最もリクルートスーツが似合う選手として法人営業かなんかで浦和に帰ってきてほしいと思います。

10 MF 柏木陽介

浦和では今季出場なし。彼については事の直後にエントリを書いているので、そちらをご参照ください。

 

続きは(中)で。

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