やっぱり良い試合だと語りたいことも増えるわけで、しかもACLということでその後の試合へのスカウティング的な影響もないだろうということで、現地生観戦した記憶を頼りに書きなぐってみてしまいました。あんまり流れとかはないけれど、感想ベースと思って読んで成仏させてやってください。久々に勝って嬉しかったんです。
スタメンとか
浦和ベンチ:福島、マウリシオ、宇賀神、阿部、柴戸、武藤、杉本
浦和はほぼベスメン。マウリシオの代わりに鈴木、武藤のところにファブリシオが入っているくらいでしょうか。連戦ですが次の清水戦を乗り越えれば1週間休みなので、あまりメンバーで悩むことはなかったのではないかと思います。あとから分かったことですが、広州恒大は橋岡対策に本職CBの5番の選手を左WBに配置。3人のスーパー助っ人が1トップ2シャドーを作る3-4-2-1でミラーゲームを仕掛けてきました。
「ベクトルを前へ」浦和本来の馬力を引き出した3つのポイント
この試合を通じてもっとも素晴らしかったのは、ここに来てついに浦和は自分たちが「しっくりくる」間合いと重心の感覚を手に入れた気がするということです。
これまでの浦和がなかなか煮え切らないゲームを展開していたことにはいくつかの根源的な理由があると思いますが、その中でも個人的に心配していたのはピッチ上の11人の重心をうまく設定できていないように感じたことでした。言い換えれば、ピッチ上の11人と11人の勝負のなかで、どこに自分たちの強みを作るのかがはっきりしていなかったと言うことです。広大なピッチを11人では完全にカバーできない以上、どこかに強みを出せばどこかが手薄になるのは自明の理。あちらを立てればこちらが立たない中で、どんなメリットを享受し、何をリスクとして受け入れるのか、そしてそのリスクをどのようにマネージするのか。これらをハッキリさせることが、いわゆる「戦い方が整理された」状態に仕上げていくポイントなのかなと思います。
で、この試合では、90分+3分間を通じて浦和本来の馬力が表現されていたゲームだったように思います。広州恒大にほとんど攻撃の形を作らせず、攻撃ではシンプルながらゴールに向かって行くパワーとシュートで終わる積極性を見せ続けました。ではなぜこんなにうまくいったんですか、という部分ですが、攻守における以下の3つがポイントだったと思います。
- 前線からの限定とWBを前に出すポジショニング、それに伴う迎撃の徹底
- チャレンジアンドカバーの原則の徹底
- ネガティブトランジションを減らすビルドアップの整備
以下に一つ一つ見ていきますが、一言でまとめれば「ベクトルを前へ」出すということ、そして前へのベクトルを出し続けるという部分を可能にする仕組みがこの試合では構築出来たのだと思います。
前線からの限定とWBを前に出すポジショニング、それに伴う迎撃の徹底
まず最初に、守備時のWBのポジショニング。これまでの浦和は早い段階で最終ラインを5枚揃えて自陣を守ることが多かったのですが、この試合では意識的にWBを押し出すような守備ができていたと思います。広州恒大も同じようなフォーメーションで戦ってきたためにWBのマッチアップがハッキリしていたのが良かったのか、浦和側が意識的にWBを押し出していこうとしたのかはよくわからないのですが、とにかく中盤で相手のサイドに簡単に起点を作らせなかったのが結果的に良かったのだと思います。橋岡と関根の両WBは前線の限定に従ってかなり早い段階で対面のWBのケアに出て行っていたように感じましたし、この守り方に対して広州は最後まで明確な対応策を準備することが出来なかったのかなと思います。
これまでの浦和は、なかなかこれが出来ていませんでした。前線の組み合わせによって徹底度は違うのですが、せっかく前線がある程度限定しても相手のSBまたはWB、SHなどサイドの選手を早めに捕まえに出ていくことがなかなか出来ず、一旦ボールが収まってから後手を踏んで出て行くようなシーンが多く見られていました。これでは相手が簡単にサイドで起点を作れてしまうので、浦和の守備陣は前に圧力をかけられません。すると、前に出て圧力をかけ、攻撃の方向を限定させたくて相手の最終ラインを追いかけた前線の守備と、下手に前に出るとサイドから中央、裏へボールが出てしまうのが怖い最終ラインの守備が分断されてしまいます。
せっかく敵陣である程度追いかけても、自陣に相手ボールが侵入してきた時には後手に回ってしまって、(また人選によっては中盤の問題もあり)結局最終ラインが晒されてしまう、この時間が長く続くと失点リスクが高まって行く、というのがここ最近よくある現象だったかなと思います。ということで、もし前に出ていきたいならWBが先手をとって相手のサイドをしっかり潰すというのが重要なわけです。で、じゃあそれができていなかった理由はどこにあるのか、というのは後々の話で繋がっていくと思います。
WBが早めに対面の相手を捕まえると言うことは、浦和の最終ラインは逆サイドのWBと中央の3バックで擬似的な4バックを形成することになります。
いつだったかの高木監督時代の長崎なんかはかなり綺麗にこの守備を徹底していたのですが、そうすると基本的に3トップを作っている広州の助っ人軍団に対しても数的有利を確保しつつ守備が出来ます。で、ハッキリとWBを前に出したことで副次的な利益を得たのが浦和の最終ラインで、広州恒大の攻撃のうちサイドから中にボールが入ってくるパターンをWBを早めにぶつけることでほぼ潰せたために、おそらく浦和の最終ラインは苦し紛れに中盤から前線へ入れてくる縦パスへの対処が非常に楽だったと思います。定量的な数字を出せないのがひじょーに残念なのですが、たぶんこの試合は広州恒大の殆どの縦パスに対して厳しいチェックが出来ていたと思います。入ってくる縦パスへの反応自体も浦和の最終ラインの方が鋭かった印象です。これはやはり前述のWBを前に出す守備によってサイドからドライブされてボールホルダーと自分のマークの2面を見る必要がなかったということや、そもそも縦パスの出所を限定出来たことで浦和の最終ラインが持つ対人の厳しさという強みを発揮しやすい土壌が出来たことが大きかった気がします。ということで、WBをハッキリと早い段階で前に押し出し、相手のサイドでの起点作りをしっかりと制限できたことで、結果としてチーム全体が前へ前へ守備をできる構造を作り出すことがこの試合では出来ていたと思います。
チャレンジアンドカバーの原則の徹底
前段の「前へ前への守備の構造」が土台となって、選手個別の対応原則もこれまでに比べて明らかに整理された印象がありました。言葉にすると守備の基本とも言えるチャレンジアンドカバーの徹底なのですが、やはり相手のボールの出所をしっかりと制限出来ていたこともあって、警戒すべき助っ人トリオへの対応においても最初にボールにアタックする人と後ろでカバーする人の関係が90分+3分間ほとんど崩れなかったのかなと思います。
この点において、目立たなかったかもしれませんが大活躍したのは鈴木大輔で、守備者としてのマークへのチェック、最後まで集中力を切らさなかったラインコントロールに加えて、槙野、岩波が迎撃に出た際のカバーリングが的確だったのはこの試合の浦和を大きく助けたと思います。特に、槙野のパスミスからカウンターを食らった場面、高速でドリブルしてくるタリスカ相手に局面の数的優位を活かしながらノーファールでボールを回収した場面は痺れました。あれはデカかったと思います。それと、なかなか観ているだけでは分かりにくい部分なのではっきりとした確信はないのですが、彼についてはやはり最終ラインでのコミュニケーションやコーチングの面で大槻監督の信頼を得ていることがこの重要な局面でのスタメン奪取に繋がっているのかなという気がします。単純なプレーヤーとしてのスペックであればマウリシオはリーグでも指折りの選手だと思いますが、マウリシオはコミュニケーションやコーチングで目立つなあという印象はあまり無い一方で、鈴木はこの試合でもポイントポイントで守備陣や中盤とコミュニケーションをとる姿が目につきましたし、最後の方のラインのマネージメントでも良いリーダーシップを発揮していたのかなと感じました。まあ単純に、最近のマウリシオを観ていると疲れがたまっているような感じもあったのでそのあたりの問題なのかもしれませんが、いずれにしろこの試合での鈴木のパフォーマンスは素晴らしかったかなと思います。あとは、相手が割り切ってきて、こちらのボール保持とビルドアップの質を問われる試合でのコントロールがもうちょっと信頼できると最高なんですけど、そのあたりも守備の安定に影響されて良くなっていかないですかね、そう簡単にいかないですかね。まあ期待です。
で、チャレンジアンドカバーを徹底することの何が浦和にとって重要かと言うと、最終ラインに人を余らせないということかなと思います。これまでの浦和は、人がいるのに崩されている失点が非常に多いです。セットプレーでの失点はあまり考えないとしても、最終ラインになぜか2枚しかいなかった!とか、相手1枚に2枚でアタックして躱されちゃった!とかそういうのじゃないんです。人は揃ってるのに曖昧に下がってしまい、ゴール前のスクランブルでやられるとか、エグられてからファーに上げられて視野がリセットされて対応が後手に回るとか、失点したくないからゴール前を埋めるのを意識したらマイナスのクロスでバイタルぽっかりとか、そんなのが多いんです。これ全部、最終ラインの枚数とスペースを埋めることに気を取られてボールに強く行けていないのが原因だったのではないかと思います。すっごい強引な言い方をすると、失点しないように慎重になっているが故にやられていたというか。なので、チャレンジアンドカバーでボールに対して前へ前へ圧力をかけるということ、そして同時にその裏で最終ラインの一時的な数的同数を受け入れるということ、この二つの意識改革みたいなものは非常に重要だったと思います。これが全体の「ベクトルを前へ」出すことの土台となって、いわば前輪駆動だったチームが4WDのごとく噛み合って馬力が出たのではないでしょうか。この意識があるからこそ、WBが簡単に5バックを作らずに前に出て行く守備とも連動できますし、逆にいえばこれまではスペースを埋めていたいがために、WBは迂闊に前に出ることが出来ず、5バックが張り付いてしまう現象が起きていたのではないかと思います。
ネガティブトランジションを減らすビルドアップの整備
で、いくら守備が良くなったとはいえ攻守は表裏一体、攻撃が全くダメで守備ばっかりしていればいつかは崩壊を免れません。ということで、攻撃面について。先述の守備でのWBの立ち位置、出て行くタイミングほどではありませんが、攻撃時においてもWBの積極性はよく見られたのかなと思います。やっぱり若い二人なので、全体が前へ前へのエネルギーを持っている方が彼らのプレーも乗って行くんでしょうね。
ただ、より戦術的な面で印象に残ったのはビルドアップの運用で、これが上手くいったことが「ベクトルを前へ」に大きく寄与したのではないかと考えています。
これまで浦和の攻撃になかなか連動が見られなかった原因は、多分色々とあるのだと思うのですが、強引に一言で言うと枚数不足かなと考えています。なんだったかの鹿島戦あたりから4バック相手に戦うにあたってWBで幅をとって噛み合わせで優位をとって行くという感じの作戦(というか定石どころか原理のレベルですが)が定着していましたが、結局サイドをうまく使うには中盤中央に相手にとっての脅威を用意しなければいけません。そして中盤中央の形をしっかり仕込むには、ビルドアップの整備が必要ですね、という話になっていきます。で、この試合の浦和はビルドアップで広州に対して明確な優位性を築くことが出来ていました。それも、これはさすがにスカウティングの勝利ではないかと思えるほどに鮮やかに。
まず浦和はこの試合、ボランチ落としを採用しています。ミシャの時代におなじみだったあれです。青木がはっきりと最終ラインに降りて、その分槙野が高めの位置を取る形で3バックを4バック化し、ビルドアップをスタートさせます。そしてその上で、両シャドーも積極的に列を降りる動きをみせていました。両シャドーが降りてくることが何故重要になるかというと、そこに広州の守備組織の弱点があるからでしょう。広州は助っ人1トップ2シャドーの3枚で浦和の3バックに枚数を合わせる狙いだったと思いますが、その一方で後ろは浦和と数を揃えるために5バックになっています。つまり中盤はボランチ2枚でケアすることになり、基本的にボランチの両脇にスペースが出来ています。
昨年のオリヴェイラのサッカーでよく見られた、「5-2-3の泣き所」ですね。この試合の浦和は明確にここを狙うことを意図してファブリシオ、長澤の両シャドーに積極的に列を降りさせています。ボランチの脇で起点を作れれば、広州の前5枚を裏返せるばかりか、中外の両方に選択肢を持ちながら攻撃をスピードアップさせることができます。(ちなみにこれ、浦和時代のミシャ式のビルドアップにおいては基本的に許容されない動きなので、個人的には遮二無二ミシャ式を採用していたわけではないと考えています。)
で、具体的にどんな良いことがあったかというと、象徴的だったのは以下の2つのシーンでした。
- 先制点の前のつなぎから関根シュートのシーン:右サイドからダイレクトパスが繋がってファブリシオへ、ファブリシオは大外の槙野へ。槙野が高い位置をとるのに呼応して関根はハーフスペースへ回り込む。ここで広州のWBがマークをスイッチして槙野の対応へ出る、そこでフリーになった関根にパスが通り、シュートまで。
- 先制点:ハンドで得た自陣FKから。ビルドアップでは青木がはっきりと最終ラインに降りる。エヴェルトンが近い位置でサポート。広州は前5枚がプレッシングの構え。ファブリシオがボランチ脇に降りる動き、ボールは高い位置を取った槙野へ青木を飛ばすパス。槙野へ入った瞬間に広州のWBが関根を捨てて出てくる。これをみて広州の右CBは関根対応へ、この時点でファブリシオの前が空き、広州の前5枚と右WBは裏返されている。関根からファブリシオにつながり、ウルトラミドル炸裂。
この2つのシーンからよくわかる広州の守備の問題点は、第一に高い位置に上がってくる槙野の対応が定まっていないということです。両方のシーンで広州の右WBの選手が槙野と関根二人に対応する必要に迫られており、最終的にはマークを変えたところでフリーを生み出してしまっています。これが致命的にもGKをウルトラミドルの射程距離で晒すことになってしまいました。第二に、前述の通り泣き所であるボランチの脇を使われる場合のケアがはっきりしていないことが指摘出来ます。特に16分の関根のシュートにつながるシーンなんかは、ロストしてしまった直後とはいえ長澤を完全に浮かせています。で、橋岡のダイレクト経由で長澤にボールが入ると慌ててハーフライン上まで寄せて、裏返される。このプレーが起点になって右サイドの密集を脱出されると、逆サイドのファブリシオもまた浮いている。で、ボールが入るとふらふらとマークのCBが近寄ってくるんですが、そのスペースを最終的に関根に使われているわけです。浦和のシャドーの列降りにCBがついていくならファール気味でもハッキリと潰し切るべきですし、リスクを負いたくない(最終ラインは揃えておきたい)ならファブリシオはゾーン2では放置すれば良いわけです。それによって浦和のビルドアップが成立してしまうなら、中途半端なプレスに前5人を使う方が間違っています。
というわけで、大槻監督以下浦和のスタッフは、広州が5-2-3でくる場合の狙い所を整理出来ていたのだと思います。その上で、助っ人3枚での同数プレスを回避するためのボランチ落としと、広州恒大のボランチの脇をシャドーの列降ろしで使っていくことを肝としてチームに仕込んだのでしょう。シャドーに起点が出来ることでWBとの関わりや距離感も良くなり、何よりひさびさに前線に積極的に顔を出した槙野のおかげで左サイドで3on2の数的優位を作り出すことに成功。広州恒大は助っ人3枚にプレスバックを期待できないので、広州のWBに致命的な2択を迫ることが出来ました。これが、攻撃面での「ベクトルを前へ」に関するポイントになりました。この戦術的なビルドアップの整理と仕込みのおかげで、Jリーグとは打って変わって安定してボールを前進させることができ、それが相手ゴールに迫るチャレンジを生み、攻撃をやりきることでネガトラが減り、それが前向きの守備のリズムに繋がっていき、全体として「ベクトルを前へ」出し続けることが可能になり、ゲーム全体の好循環が浦和の馬力を引き出した、というのが僕の考察です。
真の姿ではない気がした広州恒大
一方で、広州はあまりにも酷すぎました。
この記事でも考察されている通り、おそらくミラーゲームで個人の質の勝負に持ち込めばお互いゴール前での展開が増えるはずなので、前線に圧倒的な札束力をぶつければ打ち合いになるとしてもアウェーゴールを稼ぐことが出来るという目論見だったのではないかと思いますが、それにしても攻守に無策でした。
一応カンナバーロ監督も浦和のことはリサーチしており、ゴールキックからの空中戦で主導権を握ってくる橋岡の対策に5番の選手をぶつけたようで、本職CB同士の空中戦はたしかに見応えがあった気がします。ただここで橋岡が普通に勝ててしまっていたことと、本職CBというだけあってボランチや左CBの23番の選手とも関係性が悪く、攻撃面で起点として振る舞えなかったことなど、起用は裏目に出たと言わざるを得ない出来でした。また気になったのはボランチ2枚の機能性で、ボール保持の場面ではお互いにかなり近い関係性を維持してプレーしていましたが、この狙いがよくわかりませんでした。例えば昨年の甲府みたいに、中盤にCBが出てくるとか、シャドーが降りてきてサポートする前提ならば2枚のボランチが近い距離感でプレーする意味はわかるんです。ただこの試合の広州は特にそう行った狙いもなく、そもそも前3枚は打ち合い上等の助っ人3人組なのでゴールに向かってプレーし続けていました。これで何が起きていたかというと、どうしてもボールサイドに広州の選手が集結するので、サイドを変える際にサイドチェンジ一発か最終ラインを経由してやり直すしか選択肢がなくなるわけです。
しかも浦和は「ベクトルを前へ」を徹底しておりWBにもボールサイドのCBにも時間がありませんから、そう簡単にサイドチェンジは蹴れません。結果として有効なサイドチェンジが無いので浦和の選手の視野が保たれてしまい、圧力をもろに受ける形になって苦し紛れのロングパス攻勢を強いられていたように感じます。
また、頼みの綱の助っ人3枚も不発でした。コンディション不良なのか、それぞれの迫力もあまり感じることはなく、それぞれの連動性は見られませんでした。もちろん上述の構造によってサイドに起点が出来ず、そもそも彼らに良い形でボールが入らなかったことは彼らを苛立たせた要因の一つだと思いますが、それにしてもカンナバーロ監督のプランは土台から崩壊していたことになります。そう考えると、ミラーゲームを挑んで個人の質で勝負しようというプランはあったものの、用意してきた戦術が攻守に渡ってはまりきった上に相乗効果を発揮した浦和の前に、試合中の修正やその次の策が用意できていなかった印象です。国内リーグでは僅差ながら首位の広州恒大ですが、チームとしてのバイオリズムは下り坂なのかもしれません。
とはいえです。とはいえ、勝負はホーム&アウェー方式なのですから、まだ勝負は半分残っています。かつてズラタンが「ホーム埼スタで本物の浦和をお見せしよう」と語った言葉は今や伝説的な合言葉になりつつありますが、それは広州恒大も同じ気持ちではないかと思います。彼らもまた強大なサポーターを要する中国屈指のビッグチーム。ホームで彼らが何を見せてくるか、この試合と同じことが起きるとは考えにくいです。
- ちなみに、この試合で個人的に印象に残ったのは23番と7番の選手でした。特に23番はとなりあう左WBに本職がCBの5番がいたこともあってか?試合中は終始フラストレーションを抱えていましたが、身体能力とキックの質、視野の深さは素直に良い選手だなあと感じました。調べたら現役の韓国代表なので、さもありなんという感じです。あと、広州のボランチの機能性の部分にも関連するのですが、パウリーニョは中盤で使わないのか気になります。やっぱり彼の良さはゲーム全体に関わるダイナミズムだと思うので、例えば4-3-1-2のトップ下とか、4-2-3-1のトップ下みたいな形を用意されるようだと浦和にとってはかなり怖いのかなと思います。
あまり広州恒大の本来の姿というものを勉強出来ていないのですが、そもそも3バックは彼らの形ではないはずなので、やはりがけっぷちのホームゲームで本来の姿を見せた時の彼らの迫力というのは注意してかからないといけないのではないかと思います。まあ、そういう逆境って、浦和と浦和サポーターが一番血をたぎらせるシチュエーションな気もしますが。
勝ってよかったではない、過酷なJリーグの現実
最後に、夢見ごごちのACLの話題から現実たるJリーグの話を。
もしかして、このまま行くと、浦和の日程がヤバい?史上トップクラスにヤバい?
— 96 (@urawareds96) 2019年10月2日
10月18日(金) H大分
10月23日(水)A広州
10月29日(火)A広島
11月1日(金) A鹿島
11月5日(火)H川崎
11月9日(土)Aサウジ?
2週間で6試合、対戦相手は全部浦和より上位、勝てなかったらJ2が待ってる。
2週間で6試合はちょっと盛ったんですが、このまま進んでいくと10月中旬以降の日程はえげつないことになっちゃいますね。大分、広島、鹿島、川崎と対戦相手は全て来年のACL圏内を争う上位チームですし、その合間に若手海外営業サラリーマンばりの海外アウェイへの移動が割り込んできます。この日程をまともにこなしつつ残留までの勝ち点をどんなに少なくてもあと7は積まなければいけない大槻監督はとんでもない難易度の仕事に挑むことになると思います。もはやかわいそうですが、この順位もまた自ら招いてしまったわけで、やるしかありません。おそらくどんなにコンディションを整えてもどこかでターンオーバーせざるを得ないと思いますので、ここからシーズン最終盤までは文字通り物理的な総力戦で乗り越えるしかありません。
そう考えると、明日の清水戦は連戦に突入する前の最後の試合、しかも勝ち点3差の相手ですから、本当に本当に本当に重要な試合になります。マジで必勝です。もちろんテンションとしては中国屈指のビッグチームである広州恒大を文字通り粉砕したわけですから希望がもてるのですが、やはりこの試合の広州恒大は本来のチームだったとは思えないこともあり、また一般的にビルドアップがますます組織化されているJのチームが相手ということもあり、順位相応に苦戦するのではないかと思います。清水は監督が変わったりと結構苦しんでいますが、ずっと4バックでチームを運用してきていますし、失点を重ねていた時期もビルドアップをはじめとしたゲームの組み立ての面では一貫した原則を有するチームだと思います。直近の大勝もあって勢いも良いと思いますので、やっぱり難しい相手です。
…でもさ、でもさ、だからってビビっててもしょうがないですよね!?!!??!ここまできたらアジアは獲る、残留もする、清水もぶっ飛ばして王国浦和をやる、その後のエグい連戦も全員でなんとかする、遠征費と有給がヤバいけど全員でなんとかする、それしかないですよね?もう僕はここまで来たら、乗りかけた勢いで行くだけ行ってみたらいいんじゃないかと思います。「ベクトルを前へ」、前輪駆動でも4WDでもなんでもいいけど、前へ前へ出て行くことでチームがリズムを掴みかけているのなら、僕たちサポーターはそれを後押しして、もっともっと勢いをつけていくことだけですよね。ACLの雰囲気が特別でやる気が出るなら、ここから残り全試合ACL決勝の雰囲気でやれれば良いわけですよね?ということで、浦和人全員で戦う時、来ました。がんばりましょう!おわり!
今回も長文にお付き合い頂きましてありがとうございました。