96のチラシの裏:浦和レッズについて考えたこと

浦和レッズを中心にJリーグの試合を分析的に振り返り、考察するブログ。戦術分析。

大槻毅監督

就任期間:2019年5月~2020年12月
2018年4月~5月の間に「暫定監督」としてチームを指揮し、無敗でオリヴェイラへバトンを渡すと、そのオリヴェイラの解任に伴って正式に監督に就任し、オリヴェイラでも諦めた4-4-2のインストールに取り組む。高校教諭→分析畑→監督という珍しいキャリアで仕事への責任感が強く、人間性は高く評価されていた。
戦術的には相手のビルドアップ隊形に応じて4-4-2から2-1-2-1-4に変形するような形のプレッシングから主導権を握りに行くのがメインで、場合によっては思い切った撤退守備も採用した。勝負師の一面があり、捨てるところは捨てるとか、結構キツ目のリスクを取るとか、試合終盤はなんというか結構豪快になる傾向も。守備的、プレッシング型と評されるが、ビルドアップ・ボール保持の原則も提示していた。ただ抽象的な枠組みというか選手に委ねる余地を意識した指導をする傾向があるようで、チームを大きく変えて新しい戦い方を浸透させていく段階では落とし込みが難しかったかもしれない。
2020年シーズンは勝ち点46(34試合)の10位で退任。その後フリーの期間を経て2022年シーズンからザスパクサツ群馬の監督に就任。

浦和レッズの「3年計画」およびフットボール本部とガチ対話する

はじめに 浦和レッズの「3年計画」は失敗に終わりました。3年前に高らかに宣言した2022シーズンでの優勝は夢と終わり、優勝チームである横浜Fマリノスとの勝ち点差は29。シーズンで一度も優勝争い(3位以内)に絡むことすらできなかったのですから、ACL東ア…

浦和レッズの「3年計画」およびフットボール本部とガチ対話する【時系列編】

3 【時系列編】 「3年計画」について考えるにあたって、この3年間で何が起きたかをまずは確認していきます。記憶を掘り起こしながらなので濃淡は出てしまうと思いますが、なるべく丁寧にこの3年間のストーリーを追っていきましょう。 3.1 2019年オフ~2020…

浦和レッズの「3年計画」およびフットボール本部とガチ対話する【現場編】

4 【現場編】 ここからはトピックごとに振り返っていきます。基本的には現場~マネジメント~戦略まで、少しずつ視座を上げて振り返っていきます。というわけで、まずは【現場編】です。 ここではいわゆるピッチ上の話をします。競技面の責任は基本的に監督…

浦和レッズの「3年計画」およびフットボール本部とガチ対話する【強化・マネジメント編】

5 【強化・マネジメント編】 3年計画及びフットボール本部の取り組みとのガチ対話はついにマネジメント編に突入です。いよいよ主役と戦えると思うとワクワクします。今回で見ていくのはまさにフットボール本部のパフォーマンスです。特に、フットボール本部…

浦和レッズの「3年計画」およびフットボール本部とガチ対話する【戦略編】

6 【戦略編】 いよいよ振り返りも最終局面です。フットボール本部を組織したことも含めて、「3年計画」を含む浦和レッズの新たな取り組みの戦略性についてみて行こうと思います。 6.1 そもそもサッカーの定義が合っていたか? これまで主に現場での取り組み…

浦和レッズの「3年計画」およびフットボール本部とガチ対話する【その他&独り言編】

7 【その他&独り言編】 これで最後、もうここまで読んでいる人はいない気もしますが、「3年計画」の外側の存在についても少しだけ触れていきましょう。そして最後に、あとがきのようなものを書いておきます。 7.1 メディア・コミュニケーション 「3年計画」…

チラシの裏:大槻監督退任と3年計画の継続性はどう説明されるのかについて考えたこと

大槻監督の今季限りでの契約満了による退任が発表されました。 www.urawa-reds.co.jp 先月あたりから曹貴裁氏への接触が報道されるなど監督人事に何かありそうな雰囲気はありましたが、リーグ戦4試合を残しての報道→同日に公式発表というのは浦和フロントに…

でもそれはそれとして:Jリーグ第27節 vs横浜Fマリノス 分析的感想

こういう試合を深く掘り下げて書くこと自体が精神的にキツいかと言うと個人的にはそうではなくて、現象がはっきりしている試合はポジティブかネガティブかに関わらず書きやすいのですが、じゃあそれを読みたい人がどのくらいいるのかと考えるとずーんとして…

噛み合わせのズレをうまく使うには:Jリーグ第26節 vsサンフレッチェ広島 分析的感想

書くのが遅くなったのは忙しかったからというのもありますが、単純に気持ちが乗らずにサボっていただけです。 で、今節を振り返ると、大分戦から中2日、浦和は大分→広島のアウェー連戦ですが、一度浦和に戻る遠征コースを選んだことが若干話題になった試合で…

次のフェーズ−問われる対策への対策:Jリーグ第25節 vs大分トリニータ 分析的感想

ここ4試合で3勝1分けと終盤にきて好調に入った浦和は、ここからアウェー4連戦。初戦は大分に乗り込みました。 水曜日の試合結果を受けて順位は9位となっているものの、2位までは勝ち点8差と、残り試合数の違いはあれど今後の上位進出を現実的に目指せる立ち…

継続と成長、狙いと運:Jリーグ第24節 vsセレッソ大阪 分析的感想

今季の鬱憤を晴らすような大勝となった仙台戦から中5日、浦和はセットされた状態で特に完成度の高い「堅い」サッカーでリーグ2位につけるセレッソとの対戦となりました。 前節の大勝で得失点差を-3まで改善させた浦和ですが、今節を含めて残り10試合で9位の…

正面衝突を制する/未来への芽:Jリーグ第23節 vsベガルタ仙台 分析的感想

前節、シュート数で柏を圧倒する非常に内容の良い試合をしながらも1-1と勝利を逃した浦和。3試合ぶりにホームに帰ってきた今節は、相性の良い仙台を埼玉スタジアムに迎えました。 リーグテーブルを見るたびに今季10回も勝っているのか…と感じてしまうような…

だからこそ結果を:Jリーグ第22節 vs柏レイソル 分析的感想

前節鳥栖戦に劇的な勝利を収め連敗を脱出したレッズは、前半戦の対戦で大敗を喫した柏にリベンジして上昇していきたいところ。一方の柏は前節神戸戦を4-3で勝利し3連勝中。ただオルンガ、江坂、そして復活したクリスティアーノを擁する一方でけが人が多く、…

勝利に救われた試合:Jリーグ第21節 vsサガン鳥栖 分析的感想

1勝4敗と厳しい結果になった5連戦が明けて1週間。ホーム3連戦の後は鳥栖→柏と厄介な相手とのアウェー連戦、その後はホームに戻って仙台を迎える日程となっています。 前節終了時点のリーグテーブルを確認しておくと、浦和はリーグ10位となんとかトップハーフ…

「正しい取り組み」と引き続きの課題:Jリーグ第20節 vs名古屋グランパス 分析的感想

前回のゲームがFC東京のACL日程に合わせた29節の事前消化だったので水曜日のゲームを前節と呼んでいいのか気にしているのは僕だけではないかと思うのですが、そういうわけで通常に日程消化に戻って第20節は名古屋グランパス戦です。名古屋との前回の対戦がど…

"Spaghetti cabled":Jリーグ第29節 vsFC東京 分析的感想

前節の後半、柏木陽介の衝撃的なまでの影響力の大きさに慄いた僕ですが、そんなことにはお構いなしにコロナ禍にあっても連戦は続くわけで、ホーム3連戦の2試合目はFC東京との対戦。前半戦の対決では「お互いにボール保持を優先しないが故にお互いにボール保…

秩序をもたらすもの:Jリーグ第18節 vs横浜FC 分析的感想

前節清水に1-2で勝利した浦和。終盤にまたしてもクロスからの失点を喫しましたが、ひとまず後半戦を勝利でスタートすることができました。今節はホームに横浜FCを迎えての対戦。次節がFC東京との上位を伺う対戦ということを踏まえても今節の取りこぼしは避け…

個の輝きと混沌:Jリーグ第18節 vs清水エスパルス 分析的感想

中2日で行われる連戦は、プレーする方もそうでしょうが、観るほうにも明らかな連戦感がありますね。そう考えると連戦=連日試合があるプロ野球は1ゲーム1ゲームをあまり深く振り返る暇もないのかなと考えてしまいました。一方で毎日ゲームがあれば連日新しい…

些細な隙も許されない:Jリーグ第17節 vs川崎フロンターレ 分析的感想

今季前半戦の締めくくりとなる第17節は早くも首位独走の感がある川崎をホームに迎えた対戦です。ゲームまで1週間空いたことと、今季最強とも言える圧倒的パフォーマンスを見せている川崎のサッカーには興味があったので、いつも最初のほうに書くような相手の…

どうにかして川崎を倒したいから気合入れて考えてみた。

このエントリは既存データと直近の川崎フロンターレの試合を僕が観察した結果導出された、今季前半戦最強チームである川崎フロンターレを浦和レッズが倒すために必要な方策に係る考察をまとめたものであり、その内容は全て妄想です。 最強・川崎フロンターレ…

パンチの応酬:Jリーグ第16節 vs北海道コンサドーレ札幌 分析的感想

鳥栖戦の引き分けから中3日。札幌ドームに乗り込んでのアウェー札幌戦は、浦和としてはただの1/34ではない、「かつての師」ミシャとの対戦となります。 札幌ですが、15試合消化で勝ち点14、3勝5分7敗となかなか成績が伸びていません。直近8試合で勝ちがなく…

柏木の居場所:Jリーグ第15節 vsサガン鳥栖 分析的感想

セレッソ戦から中3日。上位について行くためには負けられない鳥栖との一戦です。 ゲーム前順位では16位の鳥栖ですが、コロナの影響で試合数が極端に少ないチームなので順位は実力を反映していないでしょう。勝ち点=ゲーム数の札幌その他が12位前後なので、…

ブレイクスルーにはまだ早い:Jリーグ第14節 vsセレッソ大阪 分析的感想

早いものでJリーグも14節。10月に入るころには20節を超えていくペースで連戦が続く9月ですが、浦和はルヴァンカップ敗退の結果ミッドウィークの試合がなく、水曜日に試合のあったセレッソよりはコンディション的に若干有利という中で迎えたゲームです。 ゲー…

襲い掛かるレオナルドと大槻監督の植えつけているもの :Jリーグ2020 vs大分トリニータ 分析的感想

前節は狙った形を表現しゴールチャンスを作ったものの決めきれずに神戸に競り負けた浦和。なんとか上位にくらいついていくためにも連敗は避けたい今節は大分トリニータを迎えてホーム連戦となります。 以下が今節直前の順位となりますが、消化試合数がまちま…

リスクとリターン:Jリーグ2020 vsヴィッセル神戸 分析的感想

ガンバ戦に勝利し2連勝でホームに帰ってきた浦和。今節は「ビッグクラブ」ヴィッセル神戸を埼スタに迎えての対戦です。 両チームのスタメンと狙い どうして小川は坊主になったんですか、何か悪いことでもしたんですか…。 浦和のベンチメンバーは彩艶、岩武、…

噛み合わせのズレをめぐる攻防(その2):Jリーグ2020 vsガンバ大阪 分析的感想

3バックを使うチームとの4連戦(広島、ガンバ、神戸、大分)の2戦目となる今節。噛み合わせのズレは引き続きポイントになるので、タイトルは手抜きではありません(手抜きです)。 両チームスタメンと狙い 浦和側の控えは彩艶、岩波、山中、汰木、柴戸、健勇…

噛み合わせのズレをめぐる攻防:Jリーグ2020 vsサンフレッチェ広島 分析的感想

[vs広島] 本当に対峙すべき“敵”とは (浦和レッズニュース) https://t.co/0norYL8ygM広島、2試合続けて中止になった後なのか!コンディション万全じゃん。個人的に広島戦は今季の趨勢を決めるかもしれないと思ってるので、試合を迎えるのが珍しく怖い。怖いと…

正面衝突、そして大破。:Jリーグ2020 vs名古屋グランパス 分析的感想

たぶん6失点した試合のレビューを書くのは初めてではないかと思います。読んで面白いかはわからないけれど、「思考のアーカイブ化」のために書くのであればこういう試合こそ書き残しておかなければいけない気がしました。 スタメン 浦和はミッドウィークのル…

プラスアルファの差:ルヴァンカップGS第2戦 vsセレッソ大阪 分析的感想

よくわからないんですが、セレッソとの対戦をレビューするのは初めてらしいです。結構印象深い試合が多い気がするし、何よりセレッソ大阪を分析するブログのAkiさんファンの僕としては自分自身信じられないのですが(普通に2,3試合は書いてると思ってまし…

積み上げたいもう一つ:Jリーグ2020 vs清水エスパルス 分析的感想

前節勝利したチーム同士の対戦となる今節。17位の清水は前節まで開幕6節勝利なしで既に5敗と苦しいシーズン序盤を過ごしていましたが、前節大分戦で一気に4得点と勢いに乗っていきそうな雰囲気。6位の浦和はFC東京、柏と自分たちと同じように守備からカウン…